雑誌「広告」誌上で博報堂のクリエイターからアイデアを募り、NPOの広告をつくるというシリーズ企画。詳細はこちらから。
以下は、クリエイティブディレクター宗形英作さんの講評。
- NPOの広告の難しさは、提供するものが商品のような具体的な形を持っていない、言い換えれば、見えないものをどのよう に形にしたらいいか、というところにあります。説明的になりがちなテーマをシンプルにとらえ、どのような世界観で語るか、それが今回の選考の決め手となり ました。
- <木を育てることは、人々を育てることである>という、このオリエン自体に、実は大きな省略があります。なぜ木を育てることが、人を育てることになるの か、この「なぜ」という疑問に応えようとしたチームとそうでないチームとの差が、ビジュアルアイデアの差になった、と言っていいかもしれません。木を育て ることは、人を育てる教育の場でもある、ということを教材という視点でビジュアル化したことが、ひとつの世界を作り上げていました。
- コミュニケーションとは、「伝える」ことではなく、「伝わる」ことです。なにも知らない人にどのようにすれば「伝わる」のか。送り手の視点と受け手の視 点を行ったり来たりをする、その作業をどれだけ繰り返したか、が大切なことです。その作業を生み出すエネルギーの元になるもの、それが「なぜ」と問う姿勢 にあります。「なぜ」の洞窟にどれだけ踏み出したか、その一歩があったからこそ一条の光を発見できた、と言えるかもしれません。