2009年1月31日土曜日

InformationHaptics(一番、言いたかったこと)


 今こそ、「情報とデザインの融合(INFORMATION HAPTICS)」が必要だと思う。情報システムの設計者は、ITの輝かしくも妖しい未来に満足することなく、デザインの情熱を理解しているか?デザイナーは、自らの将来を見据え、情報エンジニアリングの可能性に期待しているか?
 INFORMATION HAPTICSの提案は、以下の3つの仮説に基づいている。

  1. これまでのネットワークデバイスは利用者の身体性を喪失させる方向に働いているが、プロダクトデザインにおける身体感覚、シナリオ性、人間性といった要素を取り入れることで、コミュニケーションの促進と人間性の減衰という自己矛盾を解決することができる(仮説1)。
  2. これまでのプロダクトデザインは消費喚起、消費者のデザインへの無興味、社会受容性の低下という行き詰まり感をもっていたが、ネットワークによってプロダクト同士がつながることで、それらは人と人、人と情報とのコミュニケーションメディアとして作用し、プロダクトそれ自身がモノとしての呪縛から解放されることで新たな社会性を得ることができる(仮説2)。
  3. INFORMATION HAPTICSはプロダクトを通じた新しいコミュニケーションモデルやインタラクションを提案するものであるが、その身体性と社会性溢れる性質から、ユーザーはそのアプリケーションに対して容易に打ち解ける(アイスブレーク)することができる(仮説3)。
(おしまい)

2009年1月27日火曜日

2009年1月26日月曜日

吉祥寺美術館で原研哉さん展-「装丁」作品通してデザイン哲学紹介



このところ武蔵野周辺で、原研哉が熱い。

  • 「原研哉デザイン展-本-」
  • 会期     2009年1月24日[土]-3月1日[日]  
  • 開館時間  10:00-19:30
  • 休館日    1月28日[水]、2月25日[水]
  • 入館料    100円
  • 主催     武蔵野市立吉祥寺美術館

 それから、Ex‐formation 四万十川を生み出した、武蔵野美術大学、原ゼミのEx-formation展示。今年度のテーマは「はだか」らしい。
 前者は入場料100円、後者は無料。武蔵野のデザインは、お財布にやさしいんです。

2009年1月25日日曜日

休日の自由研究~時間を考える

時間とは、不思議な概念ですね。

  • 今年の元日は、一秒だけ長かったのだとか。そういわれてみれば、ちょっとのんびりできたような。そんなわけはない?では、どんなわけなのだろうか。
  • 時間というのはフランスの国際度量衡局(BIPM)のデータを元に国家単位で厳重に管理されていて、日本ではNICTという機関にある原子時計がその時刻を決めている。NICTのページへ行けば、日本で一番正確なWeb時計をみることができる。
  • 時間というのは、どこまでも細かく出来るわけではなく、素粒子の大きさを光が通り抜ける時間が最小の物理単位のようだ。この世は、壮大なデジタル時計で動いているのだろうか?
  • 時間に正確、というのは日本人の特徴を現しているようだけれど、どうも何時何分何秒という時間の切り方には、要素還元的あるいは統一的な響きがあるように思う。
  • 事実、江戸時代の時計はお天道様の出ている時間を等分してつくっていたから、季節によって昼と夜で進行スピードが変化していたらしい(不定時法)。自然と対話し、人間の生活リズムに基づいた何と身体性豊かな時間の概念なのだろうか。

2009年1月22日木曜日

多摩美術大学コミュニケーションデザイン展示へ出展します!

http://kaminoge.mokuren.ne.jp/banner_large.jpg

 上野毛デザイン展は、デザイン学科と大学院全体の学内展で、プロダクト、スペース、ビジュアル、インスタレーションなど様々な展示が催されます。出展する学生は200名、目標来場者数は2000名です。
 私はその中の、コミュニケーションデザイン展に出展します。このブログで紹介しているインタラクティブ系のワークモデル他、パネル展示などを行います。もちろん入場無料、事前登録は不要です。ぜひお越しくださいませ!


展示会概要
  • 同時開催 第17回多摩美術大学上野毛デザイン展
  • 日程 2009年2月13日(金)、14日(土)、15日(日)
  • 時間 10:00~21:00(最終日のみ17:30まで)
  • 場所 多摩美術大学上野毛キャンパス 1号館207
  • アクセス 東急大井町線「上野毛」駅徒歩3分
  • 住所 東京都世田谷区上野毛3-15-34
  • 連絡先 03-3702-9783(多摩美術大学)
  • 指導教官 太田幸夫(ビジュアル)・堀内正弘(スペース)・植村朋弘(プロダクト)

2009年1月20日火曜日

撮った写真が動き出す、CASIOのExilimデジカメ

新型Exilimの解説ページより、

  • ダイナミックフォトは写真の上で被写体が楽しそうに動きだす、動く合成写真を手軽に作る新機能です。
  • 20枚の連写画像からカメラが自動で被写体を切り抜き、お気に入りの写真と合成。
  • 憧れのスターになったり絵の中の世界に飛び込んだり、夢みたシーンがカメラ1台で実現します。






 動いている人物を切り出すには、背景差分と呼ばれるアルゴリズムを用いる。しかし、色々な環境(とくに照明条件下)でキレイに人物を切り出すには、アルゴリズムにかなりの工夫を凝らす必要がある。ぜひ実物を見てみたいところだ。

2009年1月19日月曜日

大阪の国際デザインセミナーで「空鈴」を展示します

 大阪で開催される国際デザインセミナー併設のデザインマーケットにて、空鈴のワークモデルを展示発表いたします。
 無料ですので、お近くの方はぜひいらしてください。

  • 日時:2009年2月5日(木)13時30分~17時
  • 会場:大阪国際交流センター 2F小ホール
<概要>
「自然、環境、エコ」はこれからの技術開発・デザイン開発に欠かせない益々重要なキーワードになりつつあります。セミナーでは、ドイツFesto社のコー ポレイトデザイン部門長マルクス・フィッシャー氏及び米国イリノイ工科大学教授ジョン・ポール・キューズ氏を講師としてお招きし、自然(生き物)から学ん だロボットとそれを生み出す仕組みの紹介やサスティナブルな製品開発の考え方を多くの事例で紹介します。

 詳細・お申込みはこちらから!

2009年1月18日日曜日

ネット社会への問題提起(その3)~ネットワークエンジニアとして

 最も恐ろしい問題は、「身体性の喪失」だ。なお、ここでは身体性を、五感、フィードバックあるいは経験によって統合的に知覚できる能力と定義する。ネットワークサービスの出入り口として用意されているPCや携帯電話などのデバイスは、文字と音声・画像情報のやりとりを中心に設計されており、しかもそれらの実現するインタラクションは、実世界における人間同士の相対でのやりとりとはかけ離れている。
 生活時間の大半をこうしたデジタルデバイスへ依存することにより、従来の人間的な身体性を喪失する可能性がある。

 わかりやすい例として、以下のような事例が挙げられる。

  • トレーダーが多額の金融取引を行っているにもかかわらず、コンピュータの取引インタフェースにはその現実感が無い。ジェイコム株の誤発注事件 では、トレーダーが確認のための操作に慣れきっており、ほぼ自動的にキーボードを打ち込んでいた。
  • 賞味期限、生産地、生産者など食品のトレーサビリティを確保することで、視覚、嗅覚、味覚による食品の価値推定能力が衰える。
  • センシングや情報処理能力の向上によってピンポイントの天気予報が可能となる一方で、風の流れ、気温や湿気などの皮膚感覚や、雲の流れや形などから天気の変遷を察知する能力が衰える。
(次回は、解決策を考えます)

2009年1月17日土曜日

ネット社会への問題提起(その2)~ネットワークエンジニアとして

 情報格差と並んで、「創造性の剥奪」が起きている。西垣通によれば、広義の「情報」とは、生物が環境と関係することで出現する生命情報であり、それを記号によって表現記述し社会的に流通させるのが狭義の社会情報であり、さらに、効率的な伝達・蓄積のために記号だけを独立させたのが最狭義の機械情報だという。

 Web2.0やユビキタス社会の世界観では、Webやセンシングから得られた内容を自動的に編集した結果が、情報としてユーザーへ提供される。ここでの情報は、機械情報に他ならず、日常生活をこうした機械情報に依存することで、人間本来の思考力が衰える可能性がある。例として、以下が挙げられる。

  • メール、アラート、メッセージといった何らかの「トリガー」を発端としてしか、人が動かなくなってしまっている。
  • WikipediaやGoogleの台頭により、与えられた課題に対して正面から取り組もうとせず、まず関連するキーワードを元に検索を行い、その結果をカット&ペーストするだけで解決策や成果を得ようとしがちになる。
  • レコメンド機能や、PageRankなどの統計的、自動的な結果を鵜呑みにしてしまい、自ら進んで新しい情報や関連性を探索しようというモチベーションが失われている。
(つづく)

2009年1月16日金曜日

ネット社会への問題提起(その1)~ネットワークエンジニアとして

 ネットワーク技術の急速な発達によって、インターネット社会が誕生した。ネットワークを伝って時空を越えて飛び交う情報は、人と人との間に様々な関係性を構築している。それは、旧来のWebやメールマガジンによる情報発信者から受信者への1:n型の関係や、電子メールによる1:1型の通信手段にとどまらず、昨今ではWeb2.0 の台頭により、多数の人同士が相互に協調し影響しあう事の出来る、いわばn:n型のコミュニケーションが活発化している 。
 こうしたネット上のコミュニケーションサービスは、プログラムモジュールを容易に組み合わせてアプリケーションを実現できるマッシュアップ(mash-up)や、生活空間に偏在するセンサーや制御装置によって実現されるユビキタスコンピューティング(ubiquitous computing)、あるいは処理の大半をネットワークの背後へ隠蔽したクラウドコンピューティング(cloud computing)などの技術基盤によって下支えされ、さらなる発展が期待されている。

インタラクションの閉塞感
 ネットワークを通じたコミュニケーションサービスが多くの価値を生み出している一方で、ネットワークと現実世界との関係性(インタラクション)はほとんど進化していない。多くのネットワークサービスは、人とネットワークとを結ぶ入出力デバイスとしてPCか携帯電話を用いている。コミュニケーションがこれら特定の電子デバイスに依存することには、色々な問題がつきまとう。
 よく言われるのが、情報格差だ。これは主に国、地域、教育、アクセシビリティ(高齢者や障がい者などの利用可能性)などに起因すると考えられる。これらの原因によってPCや携帯電話などの電子デバイスを使うことができない人々は、ネットワーク上でのコミュニケーションサービスによってもたらされる情報を得ることが著しく困難である。

(つづく)

2009年1月15日木曜日

インタラクティブ広告年鑑2009発売開始

 日本発の試み、Webを機軸としたクロスメディアでのコミュニケーションデザインを縦覧できるインタラクティブ広告年鑑が発売されるらしい。数量限定のため、AMAZONで予約販売が開始されているとのこと(via アドロック)。












■目次・内容

インタラクティブ広告年鑑
─ JAPAN INTERACTIVE ADVERTISING ANNUAL ?09 ─


ごあいさつ (審査員長 大岩直人)

目次

東京インタラクティブ・アド・アワード(TIAA)とは
* 東京インタラクティブ・アド・アワードとは
* 第6回東京インタラクティブ・アド・アワード概要
* 作品部門
* 第6回東京インタラクティブ・アド・アワード部門別応募作品数および受賞作品数
* 第6回TIAA受賞作品および入賞作品

第6回TIAA特別賞
 ・ベストクリエイター賞
  *作品紹介
   +[記事]ベストクリエイタートーク(GT:伊藤直樹×projector:田中耕一郎)
 ・ベストインタラクティブプロダクション賞
  *作品紹介
   +[記事]ベスプロトーク(ノングリッド:小池博史×セミトラ:田中良治)
   +[記事]ベスプロコラム(バスキュール:朴正義)

第6回TIAA受賞作品
 ・グランプリ
 ・金賞、銀賞、銅賞、入賞
   +[記事]「田中耕一郎からの3つの質問」(MONSTERFILMS:羽鳥貴晴、BILCOM:菅原良太、
                       roughark INTERAKTIV.:杉原崇之)
   +[記事]REC YOU批評(広告批評:河尻編集長)
   +[記事]ブロガートーク(「29man」渡辺英輝×「広告会議」川口聡×「インタラクリ」須田和博
                ×「インターネット広告のひみつ」太駄健司)
   +[記事]クライアントトーク(ユニクロ:勝部健太郎×ナイキ:蓑輪光浩)
   +[記事]ディレクタートーク(中島信也×江口カン×児玉裕一×柴田大輔)
・ 審査員総評(大岩直人、阿部晶人、伊藤直樹、鎌田貴史、川口清勝、木田広大、北村久美子、
         田中耕一郎、中村洋基、福田敏也、中島信也)
   +広告会社、制作会社URLリスト

第1回-5回までのTIAA受賞作品
  *第1回TIAA受賞作品(グランプリ、特別賞、金賞)
  *第2回TIAA受賞作品(グランプリ、金賞)
  *第3回TIAA受賞作品(グランプリ、金賞)
   +[記事]パイオニアトーク1(電通:大岩直人×777interactive:福田敏也)
  *第4回TIAA受賞作品(グランプリ、ベストクリエイター、ベストプロダクション、金賞)
  *第5回TIAA受賞作品(グランプリ、ベストクリエイター、ベストプロダクション、金賞)
   +[記事]パイオニアトーク2(電通:杉山恒太郎 × 電通:中村洋基 × カイブツ:木谷友亮)

2009年1月14日水曜日

描いた絵が動き出すパズル『クレヨン物理学』





 既にiTunesストアで販売開始されているみたい。(via WIRED)。理想的には、ちゃんと電子ペーパーで動作してほしいところだ。

 似たようなコンセプトで、ラクガキ王国というゲームもあったが、こちらは描いたラクガキがポリゴン化されるというもの。

2009年1月13日火曜日

インターナショナルデザインリエゾンセンターの催し物

 3Gデザイナー向けの面白そうな企画。

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   国際シンポジウム「Creative Synergy デザインの相乗効果」
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 インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターでは、今年度も2日間にわたり国際シンポジウムを開催します。今回は連携している6つの海外機関に加え、CCS(アメリカ)、上海交通大学(中国)、KAIST(韓国)、南洋理工大学(シンガポール)、成功大学(台湾)などからも教授陣が来日します。また、2日目には、紺野登(KIRO)馬場正尊(Open A)西村佳哲(Living World)、前田邦宏(関心空間)、中西泰人(慶応大学SFC)など、各界で活躍する日本人によるディスカッションも行います。

 日時:1月29日(木)、30日(金)13:00~18:00
 会場:東京ミッドタウン4F カンファレンスRoom1~4
 テーマ:「A New Standard of Designer and its Cultivation」
      (デザイナーの新たなスタンダードとその育成)
     「Designing Creativity」
      (創造性をデザインする)
 詳細:http://www.liaison-center.net/content/view/144/7/lang,ja/


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      イリノイ工科大学「Sustainable Strategies」
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ネクスト・バウハウスとして1937年に設立されたIIT-IDではコミュニケーションデザインをはじめとし、様々なデザインの方法論研究に取り組んでいます。中でもJOHN PAUL KUSZ教授はサステイナブルに関する研究に意欲的であり、その道のエキスパートでもあります。今回の「サスティナブル戦略 -Sustainable Strategies-」と題したセミナーでは、サスティナブルという考え方によって製品開発へのアプローチがいかにして変化するかについて講演すると同時に、サスティナブルについて参加者とともにディスカッションを行います。


 日時:2月2日(月)19:00~21:00
 会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
 テーマ:「サスティナブル戦略 -Sustainable Strategies-」
 詳細:http://www.liaison-center.net/content/view/143/7/lang,ja/


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       国際フォーラム「Social Design」
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 NYに拠点を持つJapan Societyと共同し、雑誌『GOOD』の創立者・ディレクターと、IDEO社でエクスペリエンス部門のリーダーであり、かつデザイナー・教育者・ビジネスリーダーが環境と社会により良い影響をもたらすべくグローバルな連合体「デザイナーズ・アコード」を立ち上げたヴァレリー・ケーシーを招きフォーラムを開催します。


 日時:2月8日(日)14:00~19:00
 会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
 テーマ:「Social Design Design + Community + Social Impact」
 詳細:http://www.liaison-center.net/content/view/143/7/lang,ja/

2009年1月11日日曜日

怒りのグラフィック

 天野祐吉のあんころじいを読んでいたら、「怒りの広告」という記事があった。

  • 1枚の写真の持つ「言葉の力」を、何万語にまさるその強さを、あらためて痛感させられました。

 というその作品は、背中に死んだ女の子を背負っている少年のものだった。以下は、天野氏が広告に仕立て上げたらこうすべき、というもののイメージ。


 確かにものすごいインパクトだと思う。悲惨な出来事を直視しているこのグラフィックは、戦争の悲惨さをダイレクトにうったえかける、身体性豊かな広告の一種といえないだろうか。

 やはりこういった手法は、広告業界が一番進んでいるように思う。以下は、乳がんの定期検診をきたすキャンペーン、「こぶを感じましたか?」というもの。


 

(参考)
広告大臣:アンビエント広告特集
無意識マーケティング:ゲリラ広告

2009年1月10日土曜日

誇大広告?

 ソニー、小型PC「ネットブック」に参入、ジーンズの後ろポケットに入る大きさ。
(asahi.comより)

 「さすがにねぇ、、、」というクチコミを狙っているのかもしれない。広告あるところに戦術あり。

2009年1月7日水曜日

スタイリッシュなストーブたち



 Thermoglance社の電気ストーブはとってもスタイリッシュ。輻射熱を出すパネルが、ガラスで出来ている。

Apollo Tabletop Fireplace
 Apollo Tabletop Fireplaceは、炎を見事にガラスの間に閉じ込めてしまっている。「キッチンカウンターで使用できる小さな暖炉」がコンセプトだ。

http://www.rove.de/images/smoove/safretti_smoove1.jpg
http://www.wakanakensetsu.com/blog/wp-content/uploads/safretti-gaya.jpg

 オランダsafretti社の壁掛け暖炉シリーズも、なかなか。

おまけ
 暖炉やヒーター類は、けっこうレトロ趣味のものが好まれる分野だと思う。ちなみに我が家で大活躍のストーブは、こちら。リンナイのR-483PMSIII、なかなかのデザインでしょう?

リンナイR-483PMS

2009年1月6日火曜日

「引き際」について~美しきエンジニアリング(つづき)


EuroNCAP試験にかけられる旧型の日産セレナ。
こうしたデータがインターネットを通じて直接消費者に公開されることで、日産側も衝突安全性への対策を余儀なくされた。


 自動車の美しさについて、その造形とか、内装とか、エンジンのことが良く語られるけれども、もっとも美しいと感じるのは「衝突の瞬間」だと思う。プロダクトが、そのプロダクトの全身をかけて人間を守っている姿は、何度見ても感動してしまう。
 近年は、単に衝突安全性を高めるだけではなく、大きな自動車と小さな自動車との共生(コンパティビリティ)を前提としたデザインがなされている。

 コンパティビリティ
メルセデスEクラスとSmartとの衝突実験(via メルセデスベンツ)、どちらも生存空間が十分に確保されている。

 ちなみに自動車アセスメントの実験結果は、全てWebで見ることができる。あなたの自動車を調べてみるのも、良いかもしれない。

  • EuroNCAP:EUが実施する衝突テスト、世界で最も厳しいと言われている。
  • IIHS:米国の保険会社が立ち上げた研究所による衝突テスト。故意に軽い衝突を起こし、一般ユーザを装って修理金額をディーラーに見積もらせるなど、保険会社らしいテストも行っている。
  • NASVA:日本の独立行政法人が実施する衝突テスト。

EuroNCAPのテスト結果を示すダイアグラム

2009年1月5日月曜日

「引き際」について~美しきエンジニアリング

故障した信号機の横断歩道を渡る男性(吉祥寺駅前にて撮影)

 先日、ハッとする光景を見てしまった。信号機が故障していたのだ。信号機の設計は、信頼性工学の集大成のようなもの。電球が切れる前に定期交換したり、様々なバックアップ回路が組み込まれていたりして、めったに故障することはない。

美しきエンジニアリング
 そのモノが「壊れた」ときにこそ、そのエンジニアリングの思想が見えてくる。良きデザインは、美しく壊れるのだと思う。
 故障した信号機には、しっかりとフェイルセーフ(fail safe)の思想が生かされていた。フェールセーフとは、故障や誤操作が起きたときの被害を最小限に食い止める設計思想だ。ストーブが転倒すると火を止める機構なども、これに含まれる。


 その信号機は、制御系統の異常をシステムが自動検知したのか、数秒後には全てが「黄色点滅」に変化した。故障しつつも、注意喚起という最低限の機能だけは維持している、非常に美しいデザインだと思った。
「壊れた先」のことまで考える、というのは、デザインの重要な使命だと思う。

2009年1月4日日曜日

「引き際」について~ハンコ職人の決意

 遠い親戚に、ハンコ職人のおじいちゃんが居た。祖母から聞いた話しでは、70歳過ぎまで仕事をしていたという。そんな彼の話しでは、「人生に一度だけ、仕事で間違いをおかしたことがある」という。
 みなさん、ハンコ職人として、してはならない事とは、何だと思いますか?

手彫り印鑑イメージ

職人の「引き際」
 有印私文書を偽造した?お客さんの個人情報を漏らした?実印をコピーした?
 いえいえいえ、そんなミミッチイ話しではありません。
 答えは、「左右逆さに彫るべきハンコを、そのまま彫ってしまった」のだそうです。何十年という職人生活の中で、一回だけおかした誤り、しかしそれを機に、彼はハンコを彫るのをピッタリとやめてしまったのだとか。
 何かのきっかけで、定年間近の役員にこの話しをしたときに、「良い話しだねぇ~」といたく感激されてしまった。曰く「この年になると、仕事の引き際がわかっているほど、幸せなことは無い」のだとか。
 次回は情報デザインとエンジニアリング的な観点からみた、「仕事の引き際」を考えます。



2009年1月3日土曜日

(休日の路上観察)どこか誌的な私有地



 インテリア誌の編集をされている方にいただいた、どこかの地方の、どこかの家の写真たち。意識的にデザインしたのかどうかさえわからない、境界を漂っているような感じ。コトバに頼りすぎて、押し付けがましい現代建築より、よっぽど見ごたえがあると思った。

2009年1月2日金曜日

触覚への憧れ

 猫の話しから引き続いて、プロダクトに潜む触覚(haptics)について考えてみたい。Immersion社の触覚フィードバックディスプレイなど、触覚から最も乖離した ITデバイスを、もっと人間的なものにしようという試みは沢山ある。


パナソニックデザイン社のジェルリモコン(デザイナー:祖父江慎)

  たぶん、それらは3つらいに分類できる。
  1. 既知感覚タイプ:日常にある、既知の感覚をそのまま提供するもの。(例:ジェルリモコン)
  2. 模倣感覚タイプ:日常にある、既知の感覚を提供しようとしているが、理解するために脳内の変換を要するもの。(例:触覚フィードバックディスプレイ、ボタンを押すとディスプレイが振動したとしても、その関係性はモノに触れたり動かしたりする既知の感覚とは異なる)
  3. 新規感覚タイプ:日常に無い、新しい感覚を生み出そうとするもの。
 新規感覚タイプは、今ではすっかり日常的なものになったサッケードディスプレイなどが代表的だと思う(デザイナー:渡邊 淳司氏)。

 模倣感覚タイプは、しょせん模倣でしかないから、市民権を得るためには何らかの努力が必要になると思う。模倣感覚タイプのインタラクションを目指す人は、そのための戦略を考える必要があるのではないだろうか。

2009年1月1日木曜日

猫にみるアフォーダンス(つづき)


 猫の話しの途中で年が明けてしまいました。読者のみなさま、本年もdesign-thinkingをどうぞ宜しくお願いいたします。

ねこ鍋
 人間は床や壁のテクスチャをもとに、周辺環境と自分との関係性を認識しているらしい。この関係性を図面から予測する能力を持っているのが建築家という職業だと思う。毛布の窪み、日当たり、あるいは迷わず鍋へ飛び込む猫を見ると、快適な場所を察知するフェティッシュな能力を感じてしまう。



ガムテープ猫
 これも有名な動画だけど、猫は視覚だけに頼らず、皮膚感覚(厳密には毛先の触覚)を頼りに環境を認識していることが良くわかる。