2009年2月28日土曜日

思考停止社会(その2)

思考停止社会の現象として、大企業を中心に、世の中の「指摘くん」濃度が増加している気がする。指摘くんというのは、企画や開発会議の場において、コンプライアンスやメディアリスク、周辺の企業不祥事などの正論を盾に、クリエイティブの想像力を奪う社内クレーマーのことである。指摘くんは思考停止社会においても、とても元気な種族だ。不祥事のニュースが増えるほど、「そらみたことか」と得意げな顔をする。指摘くん対策のために、企業はポージングのためのデザインを増やすことになる。

メディアと身体性
ささいな企業不祥事を発端に「血祭り」をつくりあげる風潮を、センセーショナリズムをモットーとするメディアのせいにするのは簡単だ。しかしそれだけでは、郷原氏のいう思考停止社会の加速を説明することができない。
血祭り文化は、インターネット掲示板の「祭り」にも似ている。つまり思考がバーチャル化し、自らの身体性から遊離したときに、肉体感覚を失った言葉によるバッシングが行われる。指摘くんの増加も、ポージングのためのデザインも、社会全体での身体感覚の喪失に関係があるような気がする。メディアの幻想を誤認した時点で、自らの感覚での判断が出来なくなる、そこで「思考の外在化」が起こり、身体性が失われるのだと思う。メディアが豊富になった今、我々の思考は無意識に外在化しやすくなっているのではないだろうか。これは、逆説的に次のような現象を説明することにもつながる。

  • 良きデザイナーに、「指摘くん」は居ない。
身体感覚を失っていないデザイナー(3Gはともかくとして)こそ、日本の救世主なのかもしれない。

2009年2月27日金曜日

思考停止社会

 ちょっと前にポージングのためのデザインについて考えた。その中で、元・東京地検特捜部の郷原 信郎氏の著書、「法令順守が日本を滅ぼす」について触れた。
 思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)は、その続編らしい。

思考停止社会
 あれから2年、日本社会の状況は一層深刻化、「遵守」がもたらす「思考停止」の弊害がさらに拡大。「法令違反」だけではなく、「偽装」「隠蔽」「捏造」「改ざん」などのレッテルを貼られると、一切の弁解・反論が許されず、実態の検証もないまま、強烈なバッシングが始まる。

  • 消費期限切れ原料使用を作為的に隠蔽しようとしたわけでもないのに、「隠蔽」と決めつけられ、存亡の危機に立たされた不二家
  • 健康被害とはまったく無関係なレベルのシアン化合物の食品製造用水への混入を公表させられ、大量の商品の自主回収に追い込まれた伊藤ハム
  • 「耐震偽装」を叩くことに関心が集中、偽装の再発防止のための建築基準法改正で住宅着工がストップ、深刻な不況に見舞われた建築業界
  • 刑事司法を崩壊させかねない大問題を抱えているのに、誰も止められない裁判員制度
  • 経済司法の貧困により、秩序の悪化に歯止めのかからない市場経済
  • 何を意味するのか不明確なまま「年金記録の改ざん」バッシングがエスカレート、厚労大臣にまで「組織ぐるみで改ざん」と決めつけられた社会保険庁


(つづく)

2009年2月26日木曜日

イノベーションの憂鬱(その2)

あたり一面が沈黙の闇につつまれるなか、声高に新しいスローガンを叫ぶことは、ただ物悲しいだけで、何の得にもならないだろう。では何をすべきか?

生活者としてのデザイン

  •  衣食住(lothing, food and housing)に関わるデザインほど大切なものはない。なぜなら我々が過ごす時間の大半は、「生活」に費やされているからだ。
  •  総務省統計局の発表にある日本人の平均就業時間から計算すると、20歳から65歳まで働いたとして仕事に費やす時間は合計106938時間(男)と81666時間(女)となる。厚生労働省のデータでは日本人の平均寿命は79歳(男)と86歳(女)だから、日本人が人生のうちで仕事に費やす時間の割合は、男性で15%、女性で11%ということになる。逆に言えば、男性であれば残りの85%の時間、女性であれば残りの89%の時間は、生活時間であるといえる。
  •   高度成長期は、この15%と11%の時間をいかに合理的に過ごすかが世の中の関心事だった。いわば産業のための産業が構築されてきたのだと思う。しかしこ れからは、85%と89%の時間をターゲットとした産業が構築されるべきだろう。(以前の記事より)

 「生活者」のために、本当に必要なデザインとは何だろうか?この闇の中でデザイナーが内省する良いチャンスなのかもしれない。

2009年2月25日水曜日

イノベーションの鬱憤

とにかく経済がヤバいですね、もはや後ろ向きな話ししか聞きません。
年度末といえば、プロジェクトの締めくくりやら何やらで春らしい気分になるものですが、来年度は「赤字」からのスタートで、どの企業もお先真っ暗どころか血の海なわけです。

ちょっと前までデザインや技術系の業界で「イノベーション」が声高に叫ばれていたような気がしますが、もはや何の声も聞こえない。あたり一面、「沈黙の闇」が広がっていることにふと気がつきました。

黙黙黙黙黙黙黙
いまや、やかましいスローガンが懐かしくさえ感じます。IT系であれば、

  • NGN(Next Generation Network)
  • シンクライアント
  • SaaS
  • クラウド
  • ユビキタス
デザインやマーケティング系であれば、
  • アドバンス提案
  • エクスクルーシブ
  • CGM、UGC
  • 感性価値
新しい世界観の提案は、ひと時の夢を見せてくれたし、その夢に向かって動く原動力となっていた気がします。しかし、そうした世界観を象徴するスローガンでさえ、もはや消えうせてしまった。

(つづく)

2009年2月24日火曜日

東京大学のインタラクション系展示

3月に、東京大学のメディア芸術系の展示成果(CREST予算の成果)が公開されるらしい。

  • アルスエレクトロニカキャンパス2008報告会
  • 2009/3/3(火) 午後1時~3時(会場12時45分)
  • 東京大学工学部2号館221教室
  • 入場無料
  • http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_03_j.html
  • 問い合わせ先:03-5841-6369、ArsCampus@cyber.t.u-tokyo.ac.jp
Webに全く情報が無いので不安だけれど、興味のある人は東大に行ってみよう!

光学迷彩Haptic of Robotic Pooysemy日々の手ざわり

2009年2月23日月曜日

モバイルコミュニケーションのセレンディピティ

 成功者の絶対法則 セレンディピティを読んでいたら、面白い話しが書いてあった。モバイルコミュニケーションというのは、「電話(telephone)」と「電信(telegram)」を繰り返しているというのである。つまり、

  1. 電報(teregram)
  2. 電話(telephone)
  3. ポケベル(telegram)
  4. ケータイ(telephone)
  5. メール(telegram)

ほらやっぱり。ということは、メールの次はtelephoneに逆戻りか、いやtelephoneといっても、我々の知っているtelephoneの形ではないはずだ。何か新しい電話のようなものが発明されるに違いない。力学提示?網膜ディスプレイ?触覚?はたまた温度電話?
 「バカなことをいうな、そんなものありはしない」って?それぞれの時代の常識にとらわれていると、ろくなことがない。Wikipediaによると、

  • セレンディピティ(英: serendipity)とは、何かを探している時に、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉である。
とあった。セレンディピティを持たない人は、その時代、その時代に満足し、新しいものをバカにする傾向にある。白黒映画がカラー映画になったときに、ハリウッドの人たちはこぞってこういったそうだ。

  • 「カラー映画だって?ばかばかしい、そんな金がかかるものいるもんか。だいいち、ストーリーは変わらないじゃないか。」
今のケーターメールのスタイルだって、当初PHSでその仕組みを提案した人は随分とバカにされたらしい。バカよばわりされ、クレイジー扱いされる人ほど、実はセレンディピティに溢れている

2009年2月22日日曜日

原宿駅前が全面緑地化!

になったら、いいですね。

harajuku

芝生ってアメリカ文化をみたときの「豊かな広い庭」のアイコンですよね。知らず知らずのうちに刷り込まれているのでしょうな。石畳、とかの方が耐久性もあるし、日本的でよろしいかと。

via Green Island and DesignWorks

2009年2月21日土曜日

フォントのわかる男

 ちょっと前のデイリーポータルZの企画で「フォントのわかる男」というのがあって、雑誌や街角のフォントを次から次へと当てちゃう人が出てきた。あれは面白かった。



ゴシックMB101Uの長体らしい。


漢字は新ゴ、数字はヘルベチカ。

 でもって、今やフォントを自動で検索してくれるi-phoneアプリなるものがあるらしい。詳細はこちら。そのうち、日本語版も出ないですかね。

whatthefont_for_iphone-1.jpg

2009年2月20日金曜日

乙女心のインフォメーショングラフィックス

リチャード・ソール・ワーマンによれば、情報の分類方法は5つしか無いのだそうで。

  • Location(位置):地図として表現
  • Alphabet(アルファベット):順番、順序で表現
  • Time(時間):時間軸で表現
  • Category(分野):カテゴリで表現
  • Hierarchy(階層):程度で表現
先日の上野毛デザイン展で2年生のつくった作品を見ていたら、こんなものがあった。(動画ではありません)


  • これは、ある女性が3人の男性を紹介され、同時にデートを重ねてはたして誰かと恋におちるのか?!3ヶ月かけ実験し、それぞれの男性をリアルに分析したまるまる女子の気持ちが詰まった実体験を元にしたフリーペーパーです。
 デートをするごとの乙女心の微妙な変化が、グラフやらコラージュやらで表現されていて、ワーマン先生もビックリの内容でした。


2009年2月18日水曜日

来月のインタラクション系展示

2009年2月17日火曜日

ライト+人間で表現するスカルプチャー「Light」

六本木ヒルズのクリスマス広告がキレイだなと思っていたら、なんとなくシンクロした動画を見つけた。

levi01.jpg

作者のLevi van Veluwさんは徹底的なサーフェイス・フェチ!?こんくらいハマッてしまわないと、良い作品は出来ないのですね。アートの世界、おそろしや。




via design works

2009年2月16日月曜日

コミュニケーションデザイン展、最終日。

くつろぐ太田幸夫教授。

石田桜さんのtransparent(トランスパラン)、成分ごとのリフィル構成となっており、購入者が製品を使ってゆくなかで自然と知識が向上するための仕掛け、そのためのカルテや店舗デザインのあり方など、単なるブランディングを越えたシステム全体でのデザイン提案。

森田康子さん(M1)の作品は、沢山のビー玉と、ブルーカラーの不織布でつくった何ともかっこいいバッグ。会場にばら撒いたり持ち去ったりすることで、来場者との関係性が生まれる

空鈴(coo-lin)のワークモデルディスプレイ。


スイッチシリーズの新作、インタネット掲示板に「氏ね」と書かれた瞬間、世界のどこかで誰かが自殺した瞬間に点滅するという恐ろしい電球。

2009年2月15日日曜日

コミュニケーションデザイン展、2日目。満員御礼!

 ブログ読者の方にお会いできて、とても嬉しかったです。日曜日(最終日)は、17:30までとなっております。詳細はこちら












2009年2月13日金曜日

コミュニケーションデザイン展、本日から3日間開催です!

整然と並んだカップヌードル、全部で100個、3分という時間をみんなで美味しく考える作品。(協賛:日清食品株式会社)


空鈴のワークモデル、ここだけ夏の雰囲気です。


私は14日(土曜日)の終日と、15日(日曜日)の午後いっぱいおります。展示会の詳細はこちらをご覧下さい。
ブログ読者の方と上野毛でお会いできることを、楽しみにしています!

2009年2月12日木曜日

GoogleStreetviewの公聴会

 情報セキュリティ業界で知らない人はいない、高木浩光氏の世にも恐ろしいブログで、公聴会の様子が動画公開されている。

2009年2月9日月曜日

ユビキタス成功のためには「インフラ乗っ取り」が必要だ

ユビキタスが社会的フィージビリティを得るために必要なもの、それは「投資対効果」だ。「投資」に目をつむって、わかりやすい社会正義だのといった「効果」だけを声高に叫んでいるプロジェクトは、いずれ全て破綻するだろう。ではどうしたら良いのか?答えは簡単だと思う。

投資が済んでいるもの
ユビキタスを成功させるためには、社会的に投資が既に済んでおり、ビジネスモデルが完結しているものに着目すれば良い。すなわち大雑把に言えば、

  1. 携帯電話
  2. 自動車
  3. 電気ガス水道
  4. 警備
  5. 運送
この5つだと思う。例えば警備会社は、契約者の在不在情報を持っている。これを運送会社とリンクすれば、不在連絡を無くすことができ、運送の効率化だけでなく、交通渋滞の解消やCO2排出量の削減に現実的な貢献ができるだろう。つまりユビキタスの現実像は、インフラのマッシュアップだ。

繰り返して言うけれど、ユビキタスのための「インフラ乗っ取り」が、今一番必要とされている。もちろんそのためには、インフラのオープン化のための技術が必要であり、それに付随して、プライバシー対策、セキュリティーに関する考察が必要である。しかしそれらの問題を議論するのは、「インフラのオープン化」という現実的な解決策を実現する手段であって、ありもしない「ユビキタスの幻想」をうわごとのように述べるためのものではない。ユビキタスを取り巻く議論が、いち早く現実性との乖離を取り戻し、本当の意味での産業振興に役立ってくれることを望む。

2009年2月7日土曜日

おい科学!

 エンジニアリングが身体を奪うという話しを書いていて、もっとわかりやすい言い方は無いものかなぁと首をひねっていたら。天野祐吉のあんころじいで、似たような文脈がつかわれていた。その時のキャッチコピーはというと、

1花.jpg

「おい、科学! 鼻を返せ!」

さすが、天才です。

2009年2月5日木曜日

技術を「魅せる」、グラフィックス


  •  「松下のロバスト顔認証システムは、ユビキタス時代のセキュリティパラダイムの中で必須の要素技術ですよね」
と書いたところで、ほとんどの人はその意味内容を理解し、興味さえ持ってもらえないだろう。ところが、この広告ときたら、気が利いている。専門用語を使わずに、誰もが知っている「能面の照らし方」というアナロジーを借りて、見事にその効果を表現しているからだ。
 これからは、技術を広告化して紹介する、という必要性があるように思う。あまりにも技術が高度になっているから。

2009年2月3日火曜日

LUTRONのカスタムWebサイト



 デザインの改造について考えて以来、カスタマイズできる製品サイトを注目してみている。ルートロンのサイトでは、オフィスや家庭につける照明の制御パネルを自在にカスタマイズすることができる。自動車なんかではお馴染みの手法だけれど、照明パネルでここまでやるとは。。。

2009年2月2日月曜日

デザインドキュメンタリー映画2本立て



 プロダクトデザイナーを特集したドキュメンタリー映画「Objectified」のトレイラーが公開されている。深澤直人にはじまり、深澤直人に終わるという、日本の2Gデザインパワーを見せ付ける内容。


Appleのラボで得意げな表情を見せるジョナサン・アイブ氏

 良く知らないのだが、HelveticaというタイポグラフィをテーマにしたムービーもDVD公開されているらしい。


2009年2月1日日曜日

テオ・ヤンセン展 - 新しい命の形 -



 ずっと前からYouTubeで気になっていたテオ・ヤンセン氏の展示会が日本で行われる。風邪を受けて空気を圧縮し、その空気圧を動力に足を動かしている。彼はこの機械を「動物」と言ってるのが面白い。


  • アートとエンジニアリングを隔てているのは人の心の中にある壁だけだ、(The walls between art and engineering exist only in our minds)、

機械工学による芸術作品(キネティックアート)の真骨頂、ぜひ実物を見てみたい。

http://hibiya-patio.under.jp/theo/">テオ・ヤンセン展 -新しい命の形-
会場:日比谷パティオ特設会場(三信ビル跡地)
展示期間:2009年1月17日(土)~ 4月12日(日)
※2月15日(日)のみ施設点検のため閉場
開場時間::10時 ~ 21時(最終入場は20時30分)
入場料:1,500円(税込) ※小学生以下は無料

ところで、地球を食べる地上最大の重機「バケットホイールエクスカベーター - Bucket Wheel Excavator」が、すごいことになっている。こちらはキネティックアートではなく、全くの実用品。人間は、考えることの大半を実現しちゃうからすごい。