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2010年4月9日金曜日

実録!こんなデザイン事務所はイヤだ!~社長が宇宙人である編

社長が何を言っているのかわからない。
(テキスタイルデザイナー、21歳、女性)

上司が宇宙の言葉を喋っている。

(インハウスデザイナー、33才、男性)


これもしょっちゅう聞く話です。特にデザイナー上がりの人が上司や社長になった場合は、会話の内容が混迷を極めるようです。デザインは右脳を酷使するので、左脳がアポトーシス(戦略的に退化)してしまうのかもしれません。
そもそもコトバというのは、デザイン作業を行うにあたって大した効能がありません。同じ様に単語を並べたとしても、受け取る側のアタマの中に生まれる想念(イメージ)というのはバラバラです。これを修正しようとして単語を並べれば並べるほど、事態は混迷を極めます。コトバの単語そのものは共通なのに、受け取る側によってその効能が変わってしまうことを、ソシュールという賢人がいち早く気がついて、それぞれシニフィアン(意味するもの)とシニフィエ(意味されるもの)という風に明確に分けた定義をしているくらいです。

処方箋
デザイナーにとって、コトバというのはイメージの(出来の悪い)代替物でしかありません。コトバはイメージに従属するものであって、色々なデザイナーが自分の想念に基づいて好き勝手なコトバを使っています。そんなコトバの世界に飛び込んで、あれこれ思案することは大変な苦痛だと思います。なぜなら、社長(上司)から並びたてられたコトバというのは、その社長(上司)のアタマの中にしか存在しないイメージを代替したものでしか無いからです。コトバを真面目に受け取った結果、あなたは「社長(上司)は宇宙人じゃないか」という論理的不可能性に陥ってしまいます。しかし、現代のデザイン作業をするにあたって、言葉は不可欠です。もはや、「デザイナーは言葉の囚人である」と言っても過言ではありません。
さて、どうすれば良いのでしょうか?

  • その社長(上司)が、どのようにしてコトバを獲得したのか?

という原点に立ち戻るのです。といっても、社長(上司)の幼年期まで遡る必要はありません。ここでの「コトバ」というのは、日本語の文法とか基本単語という意味ではなく、「社長(上司)がデザイナーとして仕事をする上で獲得したコトバ」を意味しています。それはおそらく、青年期から脂の乗った30代くらいに得たものが多いでしょう。ですから、次のようなことをすれば良いのです。

  • 「社長!デザイナーとして若いうちに読んでおくべき本はありますか?」「勉強のため今度、ご推奨の本をお借りしても良いでしょうか?」などと言葉巧みに言い寄り、社長(上司)が、青年期に読んでいた本を教えてもらう。
これで怒られることは、まず無いと思います。あわよくば本も無料で貸してもらえるし、貴重な古本も読むことができます。最近のデザイン本はHow-toばっかりなので、昔のデザイン本の貴重さに気づく事があるかもしれません。そうなれば一石二鳥です。
それから、
  • 社長(上司)が口にする「宇宙語」を、片っ端からメモします。このとき、日本語の接続語とか文法を気にする必要はありません。意味の分からなかった単語や固有名詞をメモするだけで十分です。メモが難しい場合は、ボイスレコーダーでも構いません。最近は携帯電話に付いていますよね?その後、それらの単語を片っ端からGoogleで検索します。このとき、社長(上司)的に意味が近そうな単語を組み合わせて検索するのです。
というような事も現代的で有効な手法です。Googleは複数の単語の相関関係から関連の強い文書を探し当ててくれます。これは人間の中でのコトバのパズルに近い現象であり、社長(上司)のイメージを探る旅を助けてくれる事でしょう。
例えば一番上のマンガでは「コウモリ傘」「ミシン」という単語が出てきますが、この2つをGoogleに入れるだけで、それが何を言っているのか即座に見つけ出すことができます。
このようなことはテキストマイニング(文書から宝を発掘する作業)と呼ばれ、昔は大変高価な人工知能システムでしか実現できませんでした。今はせっかくGoogleという無料ツールがあるのですから、利用してみない手はありません。なお、どうしてもわからない言葉がある場合には、「デザイン思考」ブログまでコッソリご相談ください。

さぁ、みなさんご一緒に。
「主人の言葉は、春の冒険への旅立ち!」

2010年4月5日月曜日

実録!こんなデザイン事務所はイヤだ!~ポートフォリオを投げつけられた編

ポートフォリオを投げつけられた。

ポートフォリオやスケッチは、デザイナーの顔ですよね。まだまだ印刷が高価だったころ、ポートフォリオというのは、指紋を絶対に付けないように丁寧に隅っこを持ったり、白手袋をはめて触れられたものでした。まるで美術作品をたしなむかのように。それを投げつけるなんて、なんて野蛮な会社でしょう!?
投げつけられたデザイナー(もしくはアーティストや設計士)のショックは大きかったと思います。

でもいくら憂えてみても、「ポートフォリオを投げつけられた」という事実は覆すことができません。ここは一つ、落ち着いて投げつける側の感情に眼を向けてみましょう。
繰り返しになりますが、ポートフォリオはデザイナーの顔です。「顔」というのは比喩的な意味ですが、本当にあなたの顔そのものなのです。つまり、デザイナーのカラダ、クセとか趣味の全てがそこに現れています。「投げつける」というのは、よっぽどあなたの「顔」が気に食わなかったので、かんしゃくを起こしたに違いありません。つまり、「作り直して来い!」という意味なんですね。まったく腹が立ちます。

  • われわれの自尊心にとっては、自分の意見をこきおろされるよりも趣味をこきおろされるほうが、いちだんと苛立たしく我慢できないものである。(ラ・ロシュフコー)

処方箋
「作り直す」といっても、もちろん顔は作り直すことができません。ラーメンじゃないんだから。本当にヒドい話しです。
でも一方で、カラダのクセとか、趣味であれば修正(アジャスト)することができますね。このとき投げつけた本人が社長だったのかクライアントだったのかわかりませんが、どちらにせよ相手はあなたの「主人」にあたる人です。主人の好むようなデザインを提示するのが、サービス業に従事するプロのデザイナーなわけです。だからこの場合、かんしゃくを起こすまで主人を逆上させてしまったあなたの側にも瑕疵があるわけです。もちろん、「とってもドライにみれば」という話しですよ。

ポートフォリオの語源
ポートフォリオ(portfolio)というのは、ラテン語のport(…を運ぶ)と、folio(一葉)を合成したイタリア語だといわれているそうです。つまり、元々は「色々な種類のものをひとまとめに運ぶ」という意味があるのですね。だから現代投資理論でポートフォリオというと、「複数の金融商品に分散投資すること」を意味します。リスクを分散するために特性の異なる様々な種類の株などを買うわけです。

簡単に言えば「下手な鉄砲も数打てば当たる」ということです。なのでポートフォリオというのも、
  • そもそも相手(主人)に何がウケるかなんてわからないので、それっぽいものを「幅広く」入れて持っていく。
  • 見せる相手(主人)が変わる場合は、その時々に合わせてポートフォリオを差し替え組み換えする。
という性質のものだと思います。
最初に、「ポートフォリオはデザイナーの顔だ」と書きましたが、実はこの説明は十分ではなくて、「ポートフォリオはデザイナーの顔の持つ無限の表情をうまく寄せ集めたものだ」ということになります。
これでほんのちょっとだけ気が楽になったでしょうか?
ポートフォリオを編集して、またチェレンジする気になってきましたか?

さぁ、みなさんご一緒に。
「顔は作り直せないけど、ポートフォリオは作り直せる」

2010年3月30日火曜日

ダイソン・アワード2010に受かる方法



AXISで特集されている、ダイソン・デザイン・アワード。

  • テーマ:日常での問題を解決するアイデア
  • 募集期間:2010年2月2日(火)〜7月1日(木)
  • 結果発表:2010年10月5日(火)予定
  • 賞品:最優秀作品 1作品
  1. ジェームズ・ダイソン・アワード トロフィー
  2. 受賞者に賞金約150万円(受賞時の為替相場に準じて変動)
  3. 受賞者が在籍または卒業の教育機関に寄付金約150万円(同上)
  4. 英国、またはマレーシアのダイソン研究施設訪問
こんな内容なので、デザイン系でも技術系でも、どっちもやっている系の学生も、卒業生も、腕だめに応募して、卒業旅行はイギリスへ行こう!ざっと見ると、たぶん受かるためのポイントは、

  • 良質な「思いつき」アイディアであること
  • つまり、これまで誰も思いつかなかったような「思いつき」であること
  • 決してすぐには実現できそうにもないこと、これを「先進性」といいます。
  • 遠い将来には、技術的に可能になりそうなものであること
  • 上記のことが的確に表現されていて、それっぽい実験データも具備していること
  • 英語がしっかり書けていること
それと一番大切なことは、「ダイソンという企業がどうしてこのようなアワードを実施しているのか?」について良く考えること。つまり、
  • そのアイディアを公開することで、ダイソンに対する注目度がアップすること
  • つまり、そのアイディアを実現できる会社が、ダイソンくらいしか無さそうであること
  • 具体的には、ダイソンお得意のエアロダイナミクス(流体力学)を応用したものであること
  • もっと言えば、エアロダイナミクスによって社会がより良くなるイメージを与えられるもの
  • 世界中の誰が見ても、上記のことが一別して認識できるキャッチーなグラフィック表現
にあると思う。まとめると、
  • ダイソンお得意のエアロダイナミクスをふんだんに応用した、誰も思いつかなかった思いつきアイディアであって、決してすぐには実現しないにしても、遠い将来にはダイソンによって実現されそうな感触、すなわちその作品を公開することでダイソンに対する注目度がアップすると共に、エアロダイナミクス技術が社会に貢献するというイメージを大胆かつ的確にグラフィックで表現しつつ、的確な英語で説明を補いながら、それっぽい実験データを具備したもの。
こんな感じでしょうか。
昨年度のグランプリである、「蛇口から 水が吹き出て 消火する」という俳句にもなるアイディアは、この全てを満たしていますね。この手の若手向け国際デザインアワードが、編集上手な日本人の名前で埋め尽くされますように!

 

2009年7月13日月曜日

インフォグラフィックの未来(その1)~Microsoftの戦略

近年、人間の理解できる情報量に限界がある一方で、情報量は爆発的に増えている。そんな時代にもってこいなのが、コンピュータによる「可視化」という技術だ。
「今、クロスメディアのインフォグラフィックが熱い!」とは、TUBE GRAPHICS木村さんの講演で聞いた一言。なるほど良く調べてみるとその通り、Web技術とインフォグラフィックを融合した試みが世界的に進められている。名づけて、

  • コンピュータの補助を受けたインフォメーショングラフィクス
  • Computer Aided Information Graphics
とでも言うのだろうか。
これまでインフォグラフィックといえば、IllustratorやPhotoshopを使ってグラフィックデザイナーが地道に制作するものを差していた。もちろん、それらが無くなる事はないけれども、これからはコンピュータを利用したより効率的なインフォグラフィック表現が様々な場面で取り入れられる世の中にあるだろう。

Microsoftの試み
Microsoftは、いわゆるリッチインターネットアプリケーションのプラットフォーム(簡単に言えば、インターネットブラウザ用のプラグイン)であるSilverLightを元に、NetAdvantageと呼ばれるデータ可視化のためのフレームワークを提供している。NetAdvantageでは、
  1. チャート
  2. ゲージ
  3. マップ
  4. タイムライン
  5. ズームバー
という5つのカテゴリーに基づいて、様々なインフォグラフィックのAPIをWeb上で利用できる仕組みになっている。視覚伝達性という意味でのデザインの完成度は非常に低いといわざるを得ないけれど、Webとインフォグラフィックの融合という意味で、将来様々な場面に応用できる可能性を秘めていると思う。



2009年3月8日日曜日

パーティーで大活躍する妄想チーズ

macフナミズさんのpetit inventionに、新しいシリーズが追加された。名づけて、 「Don’t Move My Cheese」。アイディアもさることながら、レンダリングが非常に美しい。

wine glass identifier made of cheese

wine glass identifier made of cheese

wine glass identifier made of cheese

wine glass identifier made of cheese

2009年2月5日木曜日

技術を「魅せる」、グラフィックス


  •  「松下のロバスト顔認証システムは、ユビキタス時代のセキュリティパラダイムの中で必須の要素技術ですよね」
と書いたところで、ほとんどの人はその意味内容を理解し、興味さえ持ってもらえないだろう。ところが、この広告ときたら、気が利いている。専門用語を使わずに、誰もが知っている「能面の照らし方」というアナロジーを借りて、見事にその効果を表現しているからだ。
 これからは、技術を広告化して紹介する、という必要性があるように思う。あまりにも技術が高度になっているから。

2009年2月4日水曜日

2009年1月15日木曜日

インタラクティブ広告年鑑2009発売開始

 日本発の試み、Webを機軸としたクロスメディアでのコミュニケーションデザインを縦覧できるインタラクティブ広告年鑑が発売されるらしい。数量限定のため、AMAZONで予約販売が開始されているとのこと(via アドロック)。












■目次・内容

インタラクティブ広告年鑑
─ JAPAN INTERACTIVE ADVERTISING ANNUAL ?09 ─


ごあいさつ (審査員長 大岩直人)

目次

東京インタラクティブ・アド・アワード(TIAA)とは
* 東京インタラクティブ・アド・アワードとは
* 第6回東京インタラクティブ・アド・アワード概要
* 作品部門
* 第6回東京インタラクティブ・アド・アワード部門別応募作品数および受賞作品数
* 第6回TIAA受賞作品および入賞作品

第6回TIAA特別賞
 ・ベストクリエイター賞
  *作品紹介
   +[記事]ベストクリエイタートーク(GT:伊藤直樹×projector:田中耕一郎)
 ・ベストインタラクティブプロダクション賞
  *作品紹介
   +[記事]ベスプロトーク(ノングリッド:小池博史×セミトラ:田中良治)
   +[記事]ベスプロコラム(バスキュール:朴正義)

第6回TIAA受賞作品
 ・グランプリ
 ・金賞、銀賞、銅賞、入賞
   +[記事]「田中耕一郎からの3つの質問」(MONSTERFILMS:羽鳥貴晴、BILCOM:菅原良太、
                       roughark INTERAKTIV.:杉原崇之)
   +[記事]REC YOU批評(広告批評:河尻編集長)
   +[記事]ブロガートーク(「29man」渡辺英輝×「広告会議」川口聡×「インタラクリ」須田和博
                ×「インターネット広告のひみつ」太駄健司)
   +[記事]クライアントトーク(ユニクロ:勝部健太郎×ナイキ:蓑輪光浩)
   +[記事]ディレクタートーク(中島信也×江口カン×児玉裕一×柴田大輔)
・ 審査員総評(大岩直人、阿部晶人、伊藤直樹、鎌田貴史、川口清勝、木田広大、北村久美子、
         田中耕一郎、中村洋基、福田敏也、中島信也)
   +広告会社、制作会社URLリスト

第1回-5回までのTIAA受賞作品
  *第1回TIAA受賞作品(グランプリ、特別賞、金賞)
  *第2回TIAA受賞作品(グランプリ、金賞)
  *第3回TIAA受賞作品(グランプリ、金賞)
   +[記事]パイオニアトーク1(電通:大岩直人×777interactive:福田敏也)
  *第4回TIAA受賞作品(グランプリ、ベストクリエイター、ベストプロダクション、金賞)
  *第5回TIAA受賞作品(グランプリ、ベストクリエイター、ベストプロダクション、金賞)
   +[記事]パイオニアトーク2(電通:杉山恒太郎 × 電通:中村洋基 × カイブツ:木谷友亮)

2009年1月10日土曜日

誇大広告?

 ソニー、小型PC「ネットブック」に参入、ジーンズの後ろポケットに入る大きさ。
(asahi.comより)

 「さすがにねぇ、、、」というクチコミを狙っているのかもしれない。広告あるところに戦術あり。

2008年12月29日月曜日

Googleでコミュニケーションデザインについて発表する原研哉氏

原研哉「空」の講演ムービー(英語、1時間)。「2Gデザイナー」を強く印象付ける内容だと思った。


2008年12月17日水曜日

時間をデザインする

 このブログでは、既にメディア変換についての記事を2つ書いている。

 私の作品「空鈴(coolin)」も、快適を音で知らせるという一種のメディア変換デバイスである。
 デザイナーにとってメディアとは可変(valiable)の概念である。彼らはまるで夢の見始めのように、メディアを自由自在に変質させることで、新たな空想を生み出している。

時間から発想するデザイン

 時間というメディアをし、目に見える状態へ変換しているデザインを2つご紹介。いずれもコンセプチャルデザインの一種であり、プレゼンや新商品の開発でも使えるメソッドだから、共有知として広く知れわたって良いものだと思う。

image0076.jpg

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光時計(デザイナー:Young Bok Kim、via J-特許)




腐る食品表示(デザイナー:弘田 猶樹@京セラ、via 名古屋DesignDo!2008)

(つづく)

2008年11月21日金曜日

住友3Mより5万円台の携帯プロジェクターが発売に

 ちょっと前に携帯プロジェクターがあったら良いな、という話しを書いたばかりだというのに、もう製品化されてしまうらしい。

3m_projector.jpg

 以下、WIREDの記事より。

  • 住友スリーエム(本社:東京都世田谷区)は、手のひらサイズでポケットに入れて持ち運べるモバイルプロジェクター『MPro110』を11月25日発売する。価格はオープンで、同社の直販サイトでは5万6490円。
  • 携帯電話を一回り大きくした程度の大きさにバッテリーを内蔵。重量は約160g。液晶を使った反射型プロジェクター技術LCOS方式を採用しており、解像度はVGA(640×480ピクセル)。距離1.8mで48インチ相当の投映ができる。
  • 入力は、アナログRGBとコンポジットビデオに対応し、ノートパソコンやデジタルカメラなどと接続。小規模なミーティングやプレゼンテーションで利用できるほか、デジカメなどの写真を大きく投映して家族や友人などと楽しめる。
  • 寸法は縦115×横50×厚さ22mm。内蔵リチウムイオン電池で約1時間の投映が可能。光源はLEDで、1万時間の耐久性があるという。
 色々と、新しい使い方が出来そうだ。

2008年11月17日月曜日

IDEO社長の上手なプレゼン

 このブログの読者のほとんどはIDEOをご存知だと思います(わからない方は、CNETの記事をご参照ください)。IDEOに代表されるイノベーションデザインの手法(と日本文化の関係)については、そのうちこのブログでも特集してみたいと思っていますが、今日はTim Brown氏のプレゼンテーションの話しです。

Timbrown_slide1

Timbrown_slide2

Timbrown_slide3

 こちらから、TimBrown氏が先日行ったプレゼンテーションビデオを見ることができます(via イソムラ式)。創造性を高めるために、子供のようになることが大切だ、という話しから、遊び(自由な発想)、フィールドワーク、シミュレーション、プロトタイピングなど、いわゆるIDEOメソッドを上手に説明しています。英語がわからなくても何となく楽しめるので、どうぞご覧下さい。


Tim_brown

やっぱり梅ちゃんは天才だった

 鼻から豆飛ばしの梅ちゃんこと梅垣義明氏のライブ。会場の右半分の客には「椎茸」、左半分には「ネギ」を配り、客に投げあいさせる。
 そしてこのとき歌うのは竹内まりやの「ケンカをやめて~私のために争わないで~♪」。



 紙オムツをして、その中に次々にビールを注ぎ込んで歌ったり、ラストはラップ越しにキス(もちろん、男性客しか狙われない)など、観客とプレゼンターとの肉体的なインタラクションについて研究に研究を重ねた内容だ。
 単一民族ならではの「あうん」「わびさび」によって文化が維持されてきた日本では、ビジネスや生活の場において身体感覚溢れる「インタラクション」というものが必要とされてこなかった。もちろんそれは例えば「逆さ箒」や「談合」のように高度に抽象化された独自の文化を生んでいて、独特の美しさを生んでいるわけだけれど。
 しかしグローバル化の中では、多数の中でコンセンサスを生み出す方法とか、短い時間でわかった(ような気にさせる)テクニックといった点で、日本人にも身体性溢れる表現が求められている。「お笑い」という文化には、そのためのコンセプチャルなヒントが沢山あるのかもしれない。

2008年9月10日水曜日

(ちょっと脱線)痛々しいプレゼンテーションに釘付け!

難しい話が続いたので、ちょっと脱線。

  • 「あぶないからやめなさい!」
  • 「家具に登っちゃダメ!」

 いろいろ子供に注意するのもいいけれど、本当に危険なことをやめさせたければ福井県にある株式会社ジャクエツのショウルームに行くのが手っ取りばやいかもしれない。



 ここでは、実際に起こった子供の事故事例を収集して、それをリアルスケールの模型という形でプレゼンテーションしている。

ジェットコースター感覚のプレゼンテーション

 テレビの「衝撃の瞬間」シリーズが好評なのは、災いをテレビというデバイスを通じて見ることで、自分は安全だと論理ではわかりながら、感情的には移入し手に汗をかいてしまうという、いわば分裂症的な体験を楽しむことができるからだ。左脳では安全だと知りながら右脳は緊張してしまうという、ジェットコースターに乗っている時と同じ感覚を味わうことができる。

写真:脱力系に描かれたイラストの中でとんでもないことが繰り広げられる、地震イツモノート(イラスト:寄藤 文平)。

写真:転倒、つまづき、感電、頭打ちなど、さまざまな境遇におかれたピクトさんを特集した、ピクトさんの本。

ジェットコースター感覚がウケるワケ

 現代人は意思決定の全てが情報化しつつある。だから、感情的・動物的には何も感じないまま、論理だけで判断する機会が多い。中学、高校、予備校、大学を決めるのは、様々な受験データや進学・就職データに基づいている。会社に入れば、ワンマン社長の勘による意思決定は一昔前の話しで、いまや時代はグローバリズム、事業計画は綿密なマーケティング戦略に基づいて淡々と実行される。
 ジェットコースター感覚がウケる理由には、こうした背景があるような気がする。「人の不幸は蜜の味」は、一つの現代病かもしれない。

2008年8月22日金曜日

プロジェクターの正しい使い方~乙女風と旦那風

 今やホームシアターやビジネスプレゼンテーションだけでなく、演劇やメディアアートなどのシーンですっかり市民権を得てきたプロジェクター。いくつか先進的な使い方を集めてみました。

旦那風
 プロジェクターの「使い方」そのものを工夫して、新しい表現方法を試みたもの。あるいは既存の「使い方」のスケールを極端に拡大して、視覚的インパクトを狙ったもの。テクノロジーそのものにベクトルが向いている、旦那(男性)風な使い方。



薄膜の上にプロジェクション映像を映し出した、マイノリティレポート風の演出(詳細記事)。

ドバイに建設が予定されている世界最大の噴水は、6600個のライトと50台のプロジェクターによて演出される(詳細)。

乙女風
 自分自身を表現するときの補助的手段として、プロジェクターを使っているもの。プロジェクターは自分を美しく見せるための服飾品であり、ベクトルは自分自身に向いている乙女(女性)風な使い方。

生西康典、掛川康典らが演出する舞台公演「星の行方」、ダンスは寺本綾乃さん。

さらなる進化
 ちょっと前にプロジェクター付きのiPodがそのうち実現するんじゃないかというお話しをしましたが、中国のCKingという会社が似たようなコンセプトの商品プロトタイプを出していました。


 詳しいスペックはこちらのニュース記事に書かれています。プロジェクターが可搬できる形状になると、今後の演劇、アートあるいは建築や都市空間のシーンで、どんな新しい表現が生まれるのでしょうか。モバイルプロジェクターの旦那風な使い方は?乙女風は?と考えるだけで、なんだかワクワクしてしまいます。

2008年7月1日火曜日

理科系のためのデザイン~構造化(その2)

 デザインにおける表現の構造化と、理科系人間の考える構造化とは、ほとんど同じ概念であるように思う。例えばエンジニアリングとデザインにおけるそれぞれの「構造化」を例に、その目的を比較してみよう。

<エンジニアリングにおける構造化の目的>
・編集性:ヒトの認知限界を超えることなく、効率的にシステム全体を設計・最適化できる。
・認識性:システムを観察する人(エンジニア)が変わっても、全体を容易に把握することができる。
・拡張性:システムの目的が変更(バージョンアップ)されるときに、モジュール単位で交換が可能である。

<デザインにおける構造化の目的>
・編集性:デザイナーの負荷を減らし、スタディの可能性を広げ、結果的に短納期に設計を完了できる。
・認識性:顧客(オーディエンス)に対して、視線誘導や運動構成の適格化により、審美性を保ちつつデザインの意図を的確に伝えることができる。
・拡張性:デザインの基本的な雛形・定石が決まれば、それを別のプロダクトラインへ容易に適用することができる。また全体のデザインをくずすことなく、各モジュールを交換することができる。

 例えば編集性を満足するために、グラフィックデザイナーは紙面のレイアウトをする際のよりどころとなるグリッドを決める。そして読み手のことを考えながら個々の見出し、記事や写真などのモジュールをどのように配置するかを考えること認識性を高めている。これは、自分たちの仕事をわかりやすく構築し、他人が読んでも見やすいようにシステムを作るエンジニアの思考に非常によく似ている。


図:PCのマザーボード(デザイナー:ASUS Corp.)

 拡張性が十分に満たされていれば、システムの更新は簡単に行うことができる。例えばマザーボードのレイアウトは、メモリーなどの増減、バージョンアップ、改良などに対して対応できるよう、各種モジュールが効率的に配置されている。また、グラフィックデザインにおける「視線誘導」の代わりに、「電気の効率的な誘導」という観点から、レイアウトのバランスが決定されている。(例えば中央上のCPUと紫部分のメモリーソケットの間は最も大量のデータが流れるため、なるべく近くに配置されている。メモリーはノイズの影響を減らすため、右端の電源ソケットになるべく近い場所に位置している)

 効率性・認識性・拡張性を向上させた結果、システムは全体は美しい機能的合理性を持つ。建築のように変化がゆるやかな分野では、メタボリズム的な交換可能な構造化はうまく行かなかったようだけれども、ソフトウェア、Webデザイン、プロダクトデザイン、グラフィックデザインなど、めまぐるしく対象の変化する分野では、構造化が追求されつつある。
 トム・ヴィンセント氏のPingMagに「RFIDの美学」という記事が出ていた。コンパクトに構造化されたデバイスならではの美しさに触れており、はっとさせられる。

 
図:RFID(IDと無線通信機能を搭載した非常に小さなデバイス、小学生の登下校管理から流通製品の管理まで、幅広く利用されている。)

 工学系の学会でプレゼンを見るたびに、理科系人間は「デザイン的なセンス」という意味での構造化をもっと勉強しても良いと思うし、デザイナーと話すたびに、デザインの背後にある「合理性」という意味での構造化をもっと勉強しても良いと思う。エンジニアもデザイナーも、せっかく同じ思考を持っているのだから。

理科系のためのデザイン~構造化(その1)

 前回、S/N比という比喩をつかって装飾をそぎ落とすデザインについて説明してみた。今度は「構造化」をキーワードに、デザインにおけるグリッドやモジュールの重要性を見て行きたいと思う。

図:構造化プログラミングの典型的なフローチャート

 理科系人間にとって、「構造化」は重要なテーマである。エンジニアリングやサイエンスの世界においては、どんな知識も形式化されているから、その情報量たるや膨大である。それらをいかに漏れなく重複なく、スッキリと構造化して整理できるかが、研究成果をまとめるときの肝になる。
 特に、短期間で膨大な情報を扱うソフトウェアの世界においては、プログラムを小さな機能単位(モジュール、サブルーチン、インスタンスなどという)に分割して、これらの単位を積み上げることによって全体として複雑な構造を持つシステムを設計する。機能単位ごとに分けることで、次のようなメリットがあるといわれている。

1.システムを観察する人(エンジニア)が変わっても、全体を容易に把握することができる。
2.ヒトの認知限界を超えることなく、効率的にシステム全体を設計・最適化できる。
3.システムの目的が変更(バージョンアップ)されるときに、モジュール単位で交換が可能である。

 こうした思想は1960年代ごろから盛んに取り入れられるようになった。ちょうど、建築の世界でメタボリズムの様式が流行した時代とも一致するところが面白い。

写真:日本のメタボリズム建築を代表する中銀カプセルタワービル、バブル経済とポストモダンが生んだ夢の跡。

 実は、デザインにおける表現の構造化と、理科系人間の考える構造化とは、ほとんど同じ概念であるように思う。次回はそのあたりについて詳しく見てみたい。(つづく)

2008年5月14日水曜日

裁判のデザイン

 シックな装丁がステキな中公新書ですが、この出版社のベストセラーは木下是雄氏の理科系の作文技術なのだそうです。今でいうところのロジカルシンキングや、ゴールとプロセスの明確化など、読み手を意識したシナリオライティング力を養うためのエッセンスが沢山詰まっており、長くベストセラーの座に居るのもうなずけます。学校のレポート、企画書から設計資料など、論理構成を重要視されるあらゆるシーンで使えると思います。まさに理科系のための文書表現のバイブルといえるでしょう。

 この手の「書きかた本」は色々あるのでしょうが、私のもう一つのお気に入りは谷崎潤一郎さんの文章読本です。中でも前半に書かれている、

 われわれはあらゆる手段をもって文章を魅力的にみせて差し支えない

 なんていう、小説家らしくちょっと構えたフレーズが大好きです。ここでは本の装丁、句読点の位置など、エディトリアルデザイン的な要素も含めて、トータルに文章の魅力を引き出すことが奨励されています。いわゆる文系的・芸術的な色の濃い読本だと思います。








 文系・理解という単純な二象限でいえば、デザインするということは、論理構成を正確に表現する理系的な要素と、その正確さを失うことなく魅力的な表現をする文系的な要素の両面があるのではないでしょうか。両者の利害が一致したとき、デザインの表現物は多くの人に対して、より直感的で、より強いメッセージを発するようになります。

 デザインが強くなることに懸念を抱いている分野もあります。常に公正な判断を要求される裁判の現場です。日経ビジネスオンラインの連載記事「イロの詐術に気をつけろ!(伊東 乾氏)※要無料登録」には、陪審員制度において、このように強いメッセージを持ったデザイン表現物(プレゼンテーション)が安易に取り入れられる事に対する警戒心のようなものがうかがえます。

裁判員裁判で、音声や動画などのマルチメディアの自由な使用を許せば、言葉に証拠を残すことなく、色彩などの効果だけで、職業裁判官を含めあらゆる裁き手が、ヒトとして不可避な認知特性によって、潜在意識レベルから簡単にメディアマインドコントロールされてしまう、それを危んでいるのです。

 優秀な商業デザイナーほど、論理に裏打ちされ、多くの共感を得る豊かな芸術表現を取り入れた「強いデザイン」で武装していると思います。従って伊東氏の意見は決して大げさでなく、デザインの強さと危うさを良く表しているのではないかと思います。