2008年6月7日土曜日

養生テープに嫉妬する

 養生テープほど過酷な運命の道具は無いだろう。身をていしてペンキまみれとなり、そしてすぐに捨てられる運命にある。何事にも終わりはあるのだけれど、とりわけ養生という作業はその一生が短く、「捨てるために貼る」という大変ネガティブな要素を持っていると思う。 養生テープは元々、自動車の意匠上、塗り分けを必要とするデザインが求められたのに合わせ、その塗装現場で発明されたらしい。最初はそう簡単に剥がせる性質のものではなかったけれど、そのうちに誰かが和紙を使うことを思いついて、現在の剥がしやすいものになったという。
 けっこう前から、養生テープ(マスキングテープ)を乙女な雑貨に仕上げてしまう、というムーブメントがある。マスキングテープ.jpでは、淡い色使いを中心としたテープが色々と売られている。養生テープという無味乾燥な分野に、カラーバリエーション、Webコンテンツやパッケージといった新たなブランディングの要素を加え、これまでとは違う雑貨の販売チャネルを開拓しているところが面白い。


 養生テープさん、あなたはなんて献身的で、頼りがいがあって、気遣いが行き届いていて、それでいておしゃれな奴なのだろうか。「養生テープのような人ですね」なんて褒められたら、ちょっと嬉しいかもしれない。