2010年7月6日火曜日

セグウェイに、イスを付けたら車椅子?

成田空港の警備でも目にするようになったセグウェイ、これにイスを付けたような乗り物が、iBot4000だ。去年くらいまで、アメリカで約250万円で売られていた高級品。



iBot4000のコマーシャル




花束を持って喜ぶ人




岩場を走る人




iBot4000に乗りながらショットガンを撃つ人


iBotやセグウェイを開発した発明家のDean Kamenさんは最近、サイボーグ義手(bionic arm)の研究に熱中している模様。

2010年7月5日月曜日

人間アルゴリズム辞典。「スワップアウト」


人間の脳には、短期記憶と長期記憶があるらしい。これはコンピュータの一次メモリと二次メモリの関係に似ているから、きっと人間とコンピュータは、記憶というものをほぼ同じように取り扱っているハズだ。
だとすると、コンピュータ工学的に言えば、以下のタイプの人間が居ることになる。

FIFO型人間
FIFOとは、First-In-First-Out(先入れ先出し)の略である。つまり、「古い知識から順番に忘れてしまう人」のことだ。背面から補給できるコンビニのジュース売り場を考えてもらえれば良い。一番古株のジュースから、順番に取り出されてゆく。
コンピュータのように正確ではなくとも、人間には少なからずこの特性があると思う。よっぽど強烈な印象がタグづけられていないかぎり、古い知識というのは徐々に薄らいでゆく。それをアップデートする手立てが、書籍を読み返すことだったり、日記を付けることなのだと思う。

LRU型人間
LRUとは、Least Recently Used(最も最近使われていない)の略である。簡単に言えば、「何かについての知識を使わないと忘れてしまう人」のことだ。
忘れっぽい人というのは、脳の性能が悪いとか、記憶容量が少ないのではなく、その知識を「使わない」ことが原因の場合も多いのではないだろうか。子供が、覚えた言葉をすぐに使いたがるように、せっかく覚えた知識はどんどん使ってみるのが良いと思う。

LFU型人間
LFUとは、Least Frequently Used(最も頻繁に使われていない)の略である。つまり、「何かについての知識を頻繁に使わないとすぐ忘れてしまう人」のことだ。
逆にみれば、「頻繁に使う知識ばかりが頭を占領」しているから、LFU型人間はクリエイティビティが低いともいえる。LFU型人間にならないために、無駄な知識(雑学)がいかに大切かがわかる。


というわけで、どうもコンピュータのように振る舞っていては、どうやらみんなつまらない人間になってしまいそうだ。目の前の課題に対して、関係無い分野の断片を組み合わせて解決策を得るのがデザイナーやエンジニアの得意技だと思う。頭の中の断片をうまくナレッジマネジメントできるようになりたいですね。

2010年7月2日金曜日

武器商人との対話~後ろしか見えない天使



前方からとてつもない砂嵐がやってくるので、顔は後ろを向かざるを得ない。そのとき、自分の来た道に見えるのは、嵐によってひっくり返った家や、砂だらけの汚れた街なんじゃないだろうか。
デザイナーやエンジニアは、そんな光景を<後ろに>見ながらも、手探りで<前に>進むしかない。

2010年7月1日木曜日

武器商人との禅問答

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上:「ホレリス型パンチカードで監視を」、米TMC(IBMの前身)の機械を、
当時のナチス・ドイツ政府に売り込んだ販売会社DEHOMAGのポスター(1934)、
下:ポール・ランドがデザインした現IBMのポスター。



とあるショウの会場にて。
  • 武器商社マン(以下、武器商人)「戦争反対とか平和主義といっている人が、一方でイノベーション(技術革新)を語るのは、まるで笑顔で赤ん坊をあやしながら、実は足で踏みつけているようなものです。」
  • 石垣「よくわからないのですが、技術革新というのは戦争によってもたらされたという意味でしょうか?」
  • 武器商人「技術革新と戦争は同じ意味です。今はテロと言う場合もありますがね。本質は同じでしょう。戦争によってもたらされなかった技術革新がありますか?」
  • 石垣「まぁ、インターネットは国防のためのネットワークだし、コンピュータは弾道計算の道具でしたからね。」
  • 武器商人「ナチスのユダヤ人プロファイリングは、TMC(IBMの前身)が販売したパンチカードシステムによってもたらされたものだという意見もあるでしょう?コンピュータやネットワークの各論はさておき、なによりも第二次世界大戦最大の発明は<システム>そのものだと思いますよ。」
  • 石垣「たしかに、その後のアポロ計画なんかで培ったOR (Operations Research)とかQC (Quality Control)の思想というのは、ほとんどが我々の産業や生活基盤を下支えしていますね。リスク系の研究は金融への応用も盛んだと聞きますし。我々エンジニアはこうした歴史に、目をつぶるわけにはいかないですね。」
  • 武器商人「ナチスのV-2ロケットを発明した後でアメリカに亡命したフォン・ブラウン先生はご存じですか?<人間を宇宙へ飛ばすためなら悪魔と手を握る>ってね、あれは名言ですね。」
  • 石垣「はぁ、それは知りませんでした。名言かどうかわかりませんが、きっと本音でしょうね。」
  • 武器商人「そういうことです。石垣さんの名刺に書いてある<デザイン>っていう言葉、これも計画とか戦略ということですね?つまり、、、」
  • 石垣「ええ、ただ、デザインには造形を通じた人の所作とか、アフォーダンスを考える人間的な意味が強いのです。特に日本では。」
  • 武器商人「J.J.ギブソンですね?」
  • 石垣「ああ、よくご存じですね。デザイン、お好きなんですか?」
  • 武器商人「第二次世界大戦中、アメリカの航空部隊で運動知覚のゲシュタルト的な分析と戦闘機パイロットの訓練をしていた、ギブソン先生でしょう?ビジュアルフィードバックが必要な防衛機材の開発者なら、誰でも知っていますよ。」
  • 石垣「あぁ、、、そうでしたか。」
  • 武器商人「そうそう、デザインといえば、実は私の同僚で、プロパガンダ映像の成り立ちをコレクションしている者が居ましてね、ちょっとご紹介しましょうか?テレビの<本当の歴史>が良く分かりますよ。ご興味あるでしょう?」
  • 石垣「あ、ありがとうございます、少し疲れてしまったのでまた後で。失礼して良いですか?」
  • 武器商人「どうぞどうぞ。私はショウの期間中、ずっとここに立っていますので。あなたのように我々の本当の価値がわかる方が居て、私は嬉しいですよ。」


 

2010年6月30日水曜日

人間アルゴリズム辞典。「リカーシブ」


リカーシブ(recursive)というのは、「再帰的(さいきてき)」を意味するコンピュータ用語だ。といっても、特別難しい話しではない。「入れ子」になっている構造全般を示すと思ってもらえればよい。だから、箱の中に箱が入っている箱根細工も、ソ連のマトリョーシカ人形も、ぜーんぶリカーシブだ。

リカーシブ人間
人間というのは、実にリカーシブな生き物だと思う。何かを成し遂げて、自分が「一皮むけた」と感じたとしよう。レポートを無事に提出したとか、就職したとか、結婚したとか、子供ができたとか、どんなことでもいい。
A.一皮むけた新しい私から見れば、「以前の私」は恥ずかしいくらい幼稚に見える。B.けれど今の私は、今後さらに「一皮むけた私」からみれば、同じくらい恥ずかしい存在にみえるハズだ。AとBより、何皮むけようとしても、「私というのは常に恥ずかしい存在」であることがいえる。

言われてみれば人間たるもの、生きていること自体が色々と恥ずかしいわけで。誰だってドラマの役者のように格好良くて美しいわけじゃないし、映画の主人公や本で読む偉人の思考のように頭も切れない。でも、恥を忍んで何かをすれば、それ自体が「成長」につながる、というものだ。一番怖いのは、「恥じることをやめてしまった人」だと思う。その人にはもう、むける皮が無い。どんなプログラムも、リカーシブな処理が終わると、あとはエクジット(思考停止)しか残されていないのだ。