ジェームス・ダイソン国際デザインアワードの結果が発表されているみたいだけど、これはもう、「お笑い」としか言いようが無い。
キッ チンで使う消火器で、普段は蛇口として使えながら、火災時には水が噴射されるのだとか。Royal College of Artのプロジェクトでつくられた作品らしい。最近のRCAはこうしたインタラクション系の提案が得意らしいけれども、物事をクロスオーバーさせるとき は、相手の領域のことを良く調べた方が良いと思う。デザイナーごときが、エンジニアリングについて語るな!(これは逆もいえる。エンジニアごときが、デザインを領海侵犯してはならない)
領海侵犯のデザイン
先の消火器は、エンジニアリング的に明らかな欠点がある点で、領海侵犯のデザインだといえる。
- キッチンの火を消すときは、絶対に水をかけてはならない(キッチンでよく起きるB火災、すなわち油などの可燃性液体による火災において、そのまま水道水をかけると被害が拡大してしまう)
- 自動消火器は、一般的に火点真上に設置しなくてはならない。ましてや遠い場所にあるシンクから霧を吹いた程度では、何の効果も期待できない。
- 火災と停電は同じタイミングで起きる(例:ブレーカーがキッチンにあった場合)。よって消火器の起動を家庭用電源だけに頼ってはいけない。
- 火災と断水も同じタイミングで起きることがある(例:地震火災や、電動の水道ポンプを使っている家庭)。よって、水力に頼らないことが望ましい。