2009年5月15日金曜日

進化論的に見るデザイン思考(その2)

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 博士の愛した数式にでてくる天才博士は、数式が解ける瞬間を「潮が満ちてくる感じ」と表現している。知り合いの数学好きに尋ねると、「何となくQED(証明終 了)への道筋がたったとき、そんな風に感じる」のだそうだ。

 レオナルド・ダ・ダヴィンチは、彫刻について「最初から石の中にある形状が浮き上がってくる」というようなことを話していたらしい。これも、「潮が満ちてくる感じ」と同じく、ジワジワと何かが達成されつつあり、それがどこか不可避効力的で、自分とは別の「客観的・絶対的な価値基準」をもって感じ取っている雰囲気がある。先日の山登りの話しで言えば、それは「頂上」あるいは「高度」という絶対的な価値基準に対して、トライ&エラーを繰り返しながら徐々に近づいていく地図を持たない登山家の気持ちに近いのではないだろうか。

山登り法と準最適解
コンピュータ科学の基本的な話題として、山登り法(hill-climb search、別名:最急勾配法)というものがある。これは自分の見ている地点の周囲を見渡し、今居る地点よりも高度の高い場所を選びながら、どんどん高い場所を目指す、という山登りのアナロジーそのものを、コンピュータの問題探索アルゴリズムに取り入れた手法だ。

この方法のデメリットは、コンピュータ科学に精通していなくてもすぐわかると思う。そう、小さな丘のようなボコッとした部分(これは局所解とか、準最適解と呼ぶ)に、すぐつかまってしまうのだ。局所解に陥ってしまった登山家は、自分の周囲しか見ないから、そこが頂上だと思い込んでしまう。

これは非常にカッコワルイことだと思う。はっきりいって、デザイナー失格である。「センサー」が弱まっており、自分の周辺を見渡せていないのだ。それでいて、自分の解が「イケている」と信じて疑わない。
みなさんの周囲に、そんな人は居ないかもしれないけれども、自分が短絡的で直球でカッコワルイ山登りを行わないように、デザイン思考における「最適解と準最適解」の捉え方については、知っておいて損は無いと思う。

(つづく)

2009年5月14日木曜日

進化論的に見るデザイン思考(その1)

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 山に登っていると、どこが頂上だかわからなくなる。そんな経験は無いだろうか?うっそうとした林によって視界はさえぎられ、丘陵はゴツゴツと複雑な形をしていて、自分の立ち位置から一見しただけでは、頂上の位置が把握できない。
 もし、地図という「人工的な道筋を抽象化して示す道具」が無ければ、あるいはまた、その道さえも無ければ、我々は頂上を目指すためにとりあえずランダムに勾配を登り、少し見晴らしの良いところから周囲を見定め、また少し降り、そして少し登り、といったことを繰り返しながら、より高い場所を目指すしか無いだろう。
 すると、山を登ることは、山を降りる事よりよっぽど難しい事だという事実に気づかされる。現に登山家たちが遭難した場合は、頂上を目指すことよりも、山を降りる事を優先するという。ゴツゴツとした複雑な形状の山(=解空間)を、人間というごく小さな存在が歩き回って頂上(=最適解)を導き出すのは、とても難しいことだ。

 これは、デザイン思考にも通じていると思う。クライアントから与えられた課題は、山脈のようなものなのではないだろうか。山脈の上には雲がかかっていて、麓から見取ることは出来ない。いったいどんな素晴らしい頂上があるのかさえ、デザイナーは知らない。これから先人たちの残した道しるべ(=ケーススタディー)を頼りにして、ランダムウォークを繰り返すのみである。

(つづく)

2009年5月13日水曜日

エコなフォントって何だ?

とあるデザイナーの人と飲んだときに、「エコフォント」をつくろうという話題で盛り上がったことがある。インクを使う量が少ない、環境と経費に優しいフォント、というアイディアだ。
冗談半分だったのだけれど、どうやら現実に販売されているらしい。

●英語版エコフォント(フリー)
http://www.ecofont.eu/downloads_en.html
●日本語フォント(株式会社ニィス)
http://www.nisfont.co.jp/home/products/package/efont.html

2009年5月12日火曜日

世田谷・羽根木公園の「落とし穴」

羽根木公園を歩いていて、ギョッとしたことがある。プレイパークと呼ばれる子供用のゾーンに入ると、木の枝に縄を縛り付けてブランコをしている少年。地面に大きな穴を掘って落とし穴をつくっている子や、バラック小屋の屋根の上をキャッキャと飛び跳ねる女の子が居た。道具コーナーにはノコギリやノミなどの工具類があり、どうやら火をたいている子もいるようだった。どの子も体中泥だらけで、真っ白な笑顔を浮かべていた。

羽根木プレーパーク 駒沢プレーパーク

それもそのはず、ここは他の公園では絶対にできない「遊び」のできる、都内有数の公園なのだ。いわゆる昔の子どもたちの遊びを、リスクを最大限回避・容認しながら、都市公園の中で再現している。
プレイパークには、ファシリテーションを行うプレイリーダーが必ず常駐しており、全ての遊びはリーダーの見守る中で行われている。

一時期の遊具バッシングに踊らされ、大人の論理だけでつくられた「安全で冷たい公園」にはない、刺激と愛に満ちた空間だった。

2009年5月11日月曜日

まるでセーターのように毛皮を脱ぐ羊

岩手県の牧場にて。最近の羊は、上皮細胞増殖因子(EGF)を含む注射をすることで、痛みも無くスルスルと毛皮を「脱ぐ」らしい。これを開発したのは日本の醤油メーカーとのこと、とくに害は無いみたい。



下はEGFで大量に採れた「ウールの海」で遊ぶ知らない子供。なんとも気持ちよさそうなのだけど、大人は入れなかった。