2008年12月10日水曜日

「青色の街頭」で犯罪が激減!?

 先日、京都へ行ったときに街灯が青色に光っていてギョッとした。気になって調べてみると、関連記事を見つけることができた。

  • 昨秋、商店街で空き巣被害と自転車盗が相次いだ。「最近、物騒やな」。歳末特売を話し合う会議の場で誰ともなくつぶやいた一言がきっかけ。商店会の義平信明会長(70)が府警旭署に相談し、教えられたのが青色防犯灯だった。
  • 英国・グラスゴーで2000年ごろ、景観改善を目的に設置された。ところが、これとは別に、設置地区の犯罪件数が減少し、青い光の効果が思わぬ注目を集めることになった。
  • 我が国の第1号は、昨年6月に導入した奈良市秋篠台地区の住宅街。導入前の半年間に3件の空き巣と自販機荒らしがあったが、導入後の1年間で被害はゼロだった。

 英グラスゴーでの事例は、仕事柄良く聞いていた。科学的な効果は良くわかっておらず、継続性についても疑問がある。さらに、青色とそうでない場合で事件発生率に有意な差があったとしても、それが「青色」に由来するものだと結論付けることはできない。それは単に、「他と何かが違うから」という理由で犯罪が抑止されているだけかもしれない。だから青色でも黄色でも赤色でも、何色でも良いのかもしれない。また、青色化していない周辺部の地域の犯罪発生率が上がったとする意見もあり、国全体として犯罪抑制につながっているのかどうか疑問である。

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スコットランド北部のグラスゴーのブキャナン通りの写真

 もっと問題だと思うのは、単に「グラスゴーで青色の街灯にしたら犯罪が減った」という字面だけの情報が伝播し、それに皆が飛びついている、という実態である。写真を見ればわかるとおり、グラスゴーの街灯はとても美しい。統一された電球色のディスプレイや、奥に光るガス灯色の街灯とのコントラスト、通りの空間設計。
 そこには「街灯が青色」という単純な字面の情報では表せない、明らかな「豊かさ」がある。「犯罪が減った」という現象は、この空間としての「豊かさ」を含めた上での、そこに居合わせた人たちの相互の振る舞いの結果なのではないだろうか