2009年2月9日月曜日

ユビキタス成功のためには「インフラ乗っ取り」が必要だ

ユビキタスが社会的フィージビリティを得るために必要なもの、それは「投資対効果」だ。「投資」に目をつむって、わかりやすい社会正義だのといった「効果」だけを声高に叫んでいるプロジェクトは、いずれ全て破綻するだろう。ではどうしたら良いのか?答えは簡単だと思う。

投資が済んでいるもの
ユビキタスを成功させるためには、社会的に投資が既に済んでおり、ビジネスモデルが完結しているものに着目すれば良い。すなわち大雑把に言えば、

  1. 携帯電話
  2. 自動車
  3. 電気ガス水道
  4. 警備
  5. 運送
この5つだと思う。例えば警備会社は、契約者の在不在情報を持っている。これを運送会社とリンクすれば、不在連絡を無くすことができ、運送の効率化だけでなく、交通渋滞の解消やCO2排出量の削減に現実的な貢献ができるだろう。つまりユビキタスの現実像は、インフラのマッシュアップだ。

繰り返して言うけれど、ユビキタスのための「インフラ乗っ取り」が、今一番必要とされている。もちろんそのためには、インフラのオープン化のための技術が必要であり、それに付随して、プライバシー対策、セキュリティーに関する考察が必要である。しかしそれらの問題を議論するのは、「インフラのオープン化」という現実的な解決策を実現する手段であって、ありもしない「ユビキタスの幻想」をうわごとのように述べるためのものではない。ユビキタスを取り巻く議論が、いち早く現実性との乖離を取り戻し、本当の意味での産業振興に役立ってくれることを望む。