2009年2月26日木曜日

イノベーションの憂鬱(その2)

あたり一面が沈黙の闇につつまれるなか、声高に新しいスローガンを叫ぶことは、ただ物悲しいだけで、何の得にもならないだろう。では何をすべきか?

生活者としてのデザイン

  •  衣食住(lothing, food and housing)に関わるデザインほど大切なものはない。なぜなら我々が過ごす時間の大半は、「生活」に費やされているからだ。
  •  総務省統計局の発表にある日本人の平均就業時間から計算すると、20歳から65歳まで働いたとして仕事に費やす時間は合計106938時間(男)と81666時間(女)となる。厚生労働省のデータでは日本人の平均寿命は79歳(男)と86歳(女)だから、日本人が人生のうちで仕事に費やす時間の割合は、男性で15%、女性で11%ということになる。逆に言えば、男性であれば残りの85%の時間、女性であれば残りの89%の時間は、生活時間であるといえる。
  •   高度成長期は、この15%と11%の時間をいかに合理的に過ごすかが世の中の関心事だった。いわば産業のための産業が構築されてきたのだと思う。しかしこ れからは、85%と89%の時間をターゲットとした産業が構築されるべきだろう。(以前の記事より)

 「生活者」のために、本当に必要なデザインとは何だろうか?この闇の中でデザイナーが内省する良いチャンスなのかもしれない。