2010年7月23日金曜日

ツイッター、聴覚障害者にも 要約筆記、瞬時に発信

耳の不自由な人に瞬時に文字情報を流す手段として、インターネットの簡易投稿サイト「ツイッター」を活用しようと、聴覚障害者支援のボランティアを している男性が、パソコンで要約筆記した内容をツイッターに投稿できるプログラムを開発した。野外イベントなど広い会場での利用に期待されている。

 現在、イベント会場などで聴覚障害者向けに文字情報を送る場合、複数の要約筆記者が連携してパソコンに専用ソフトで入力し、スクリーンに映す場合 が多い。無線LANを通じて、受け手の手元のパソコンや携帯ゲーム機に表示させる方法もあるが、いずれも機器の配線や設定に手間がかかる。情報の届く距離 も限られている。

 そこで、静岡県裾野市の会社員森直之さん(29)が、短いメッセージをリアルタイムで発信できるツイッターの仕組みに着目。既存の要約筆記専用ソフトに、入力内容が自動的にツイッターに投稿できるプログラムを組み込んだ。

 発信者側はこのソフトを用いて、要約筆記に使うツイッターの投稿者名(アカウント)をあらかじめ指定。複数の要約筆記者の入力した内容がこのアカ ウントに表示されるよう設定したうえで、聞き取ったイベントの内容を短文で次々に投稿する。聴覚障害者は携帯電話などで、このアカウントを指定して一連の 「つぶやき」をフォローすれば、情報を受け取れる。特別な設定の必要もない。

 距離を気にせず、大勢に同時発信できるため、屋外のスポーツイベントでは場内アナウンスのように使える。講演会や演劇では主催者の許可を得られれ ば、どの座席でも利用できる。広い会場に複数のブースがあるフェアなどで、ブースごとに告知する使い方も可能だ。文字画面が次々に更新されるスクリーンと 違い、受け手が前の情報をさかのぼれるのも利点だ。

 11日に広島県であった要約筆記の研究大会で実際に使われた。森さんは「これまで難しかった環境での聴覚障害者への情報提供の可能性が広がる。ただ、携帯電話が使えない劇場やホールもあり、会場に適した提供手段を考える必要がある」と話す。(千葉雄高)


via asahi.com