2010年3月8日月曜日

命を守るガジェット


日本人のガジェット(gadget)に対する思い入れは、世界一だと良く言われる。明和電機、カヤックとか空想生活など、ガジェットで世界に挑戦している人たちが沢山いるわけだし。
ところで無印良品=虚無な記号のところで話題にしたボードリヤールは、ガジェットに対して、

  • 消費社会におけるモノの真の姿で、道具性を失って記号化したものである
という痛烈な批判を浴びせているけれども。これはあくまで、「デザインは機能に従う」とか「工業デザインはインダストリアル・アートである」という古典的な視点に立てばこその話しだと思う。

ガジェットという言葉は、何となく「コラージュ」とも音感が近いし、ポップで軽薄、寿命が短小なイメージで取り扱われてしまう事が多い気がする。そんなことから、なんとなく「独創的クリエイティブ」を自負するデザイナーや芸術家からは、格下に見られる傾向にある。これは残念だ。
一方で、小さなイノベーション(マイクロイノベーション)とか、ソーシャルエンタープライズとか、いろいろな分野の要素の継ぎ接ぎによって状況を改善しようとする動きには、世界的にも合致していると思うし、これからはガジェット礼拝が世界を救う、のかもしれない。

何の話しかというと、緊急地震速報の話しなのです。

アイリスオーヤマの天才デザイン
久しぶりに、良いガジェットを買いました。
運用が開始されてから3年以上がたつ、世界最高の「緊急地震速報システム」だけれども、その恩恵を受けるためには、専用の家庭用端末を準備する必要があるし、これがまた高い。

地震速報機EQA-001をデザインした人は天才ガジェッターだと思う。中身は、何のことはない「FMラジオ」の受信機なのだけれども、ラジオに流れる緊急地震速報のメロディー音を自動的に検知して、自動的にスイッチが入る、というもの。しかも85デシベルの大音量である。
これなら夜、寝ていても地震の揺れに備えることができる。