複数のWeb上のサービスを融合してつくられた、いわゆるマッシュアップが今や当たり前になってきている。動画とテキストを組み合わせたニコニコ動画、地図と写真を組み合わせたFlickrなどが有名どころだろうか。最近面白いなと思ったのは、デートスポットを共有できるデート通とか、思い出の場所を書き込むと誰かが見てきてくれる見てきて地図などだ。みんなの「思い出」のようなものが地図情報にのこる仕組みになっていて、非常に情緒あふれるマッシュアップ・サービスになっていると思う。
京王線の真横で進む1トン爆弾の撤去作業
ところで本日、ご近所の調布市ではB29の不発弾を処理するために住民16,000人が避難する
大騒ぎになっていた。あまりちゃんと報道されていないけれど、調布のスバル自動車の工場ではかつてゼロ戦をつくっていて(その名残でスバルの車は今でも水平対向エンジンを載せている)、今回発見された爆弾はそのゼロ戦工場を爆撃しようとしたMrs. TittymouseというニックネームのB29が載せていたものだったのだ。しかもこのMrs. Tittymouse、体当たりしてきたゼロ戦によって撃墜されている。
ゼロ戦パイロットの古波津里英さんは脱出して三軒茶屋あたりにパラシュートで着地(2006年までご存命)、B29は京王国領駅前の畑に不時着して乗組員は一人だけ生き残ったらしい。その不時着したB29を国領の人が見たときの記録が残っている。
離れたところから何気なく胴体を見ていると、主翼のつけ根のやや前よりに、びっくりするようなものを見つけた。白銀色のジュラルミンの胴体に、八十センチのほどの大きさで、絵が描いてあったのだ。その絵は、豊かな乳房をあらわにした半裸体で、右手を金髪の後ろにあて、やや反り身になりながら目をつぶって、こちらをじっとみつめている若い女の姿だった。わたしは見てはいけないものを見てしまったような気がして、目を伏せた。しかし、私の後ろでは、大人たちが二三人、ニタニタしながら見ていた。女の人の絵の横には、英語の文字が書かれていたが、もとより何と書いてあったかはわからない。空襲、空襲でおびえていた私たちには、まったく想像もできない絵であった。しかもそれが戦争のさなか、日本を爆撃にくる飛行機に描かれていたとは……「心に秘めていた戦争の話」(偕成社、1995年刊) のどかな街にも残る戦争の面影、空から落ちてきた異文化のショック、、、こういった話しこそ、地図、写真、文字情報が融合したマッシュアップサービスとして残し、生きた形で共有してゆけないものだろうか(
東京ユビキタス計画あたりで取り扱ってくれませんかね)。
■今日のデザイン思考・実践編■
→「思い出、名残、記憶」といった情緒的な要素を生かしたマッシュアップサービスを考えてみましょう。
→あまり技術にとらわれる必要はありません。どんなことでも実現できると仮定した方が面白いアイディアが出ると思います。
(例:みんなのファーストキスの場所をハートマークで表示する「キス地図」、逆バージョンの「フラレ地図」、自分のゆかりのある地域だけを集めて1つの仮想街をつくる「勝手地図」)