2008年5月15日木曜日

自然、メディア、変換

 西村佳哲氏のWebページリビングワールドでは、自然や人の温もりをテーマにした作品が多く紹介されている。中でも私が好きなのは、2001年ごろからコツコツとつくられていた「風灯」だ。


 風灯とは、読んで字のごとく風鈴の「灯」版だ。風鈴の形をしていながら、そよそよと風が吹けば優しく全体が光る。情報学的にみれば、風鈴は風という触覚メディアを聴覚メディアに変換するデバイスだとみることができる。風灯は触覚→聴覚ではなく、触覚→視覚へと、メディア変換の流れを変えた作品だ。

 西村氏の手にかかれば、時間という目に見えない情報源も、美しい形態を身にまとった表現物となってしまう。この砂時計は、「100人の子どもが生まれる時間」と名づけられており、サラサラと砂が落ちるまでの数分の間で、(統計上の平均値からいって)100人の子供が地球上に誕生するという。
 以前、チョコレートと牛丼にみるメディア変換でも書いたけれども、こんなにも普遍的で、直感にうったえ、記憶に残り、そして説得力のあるプレゼンテーションの方法論を、デザイナーだけのものにしておくのは勿体無いと思う。

■今日のデザイン思考実践編■
 身の回りで起きている色々な現象を見つけ出し、それを何かの指標に例えて表現してみる。例えば、上司の機嫌がわかる体温計、あと何メートル書けるかがわかるボールペンなど。メディア変換に慣れてきたら、自分の仕事に関係する表現で使ってみる。