グッドデザイン大賞はダイソンの冷房器具、「羽無し扇風機」なのだとか。そういえばナガオカケンメイさんも怒っていたが、同じクールでも、クールな日本を盛り上げるためのAKB48じゃなくて本当によかったー。来年はそんなグッドデザイン賞にグッドデザイン賞をあげよう。
さて、ダイソンの羽無し扇風機といえば、エンジニアの間ではどうしても特許の話しが出てくる。もうWikipediaにも書かれているくらい有名になってしまったが、下図左がダイソンの羽無し扇風機で、右が旧東芝だかの特許に書かれた図、だったと思う。
さて、ダイソンの羽無し扇風機といえば、エンジニアの間ではどうしても特許の話しが出てくる。もうWikipediaにも書かれているくらい有名になってしまったが、下図左がダイソンの羽無し扇風機で、右が旧東芝だかの特許に書かれた図、だったと思う。
アイディアは特許にならない
「羽根無し扇風機」というのを世界で初めて思いついて特許をとったのは、たしかに東芝だったかもしれない。では、「羽根無し扇風機」は東芝の特許なしには作れないかというと、ぜんぜんそんなことはない。その「実現方法」が違っていれば、全く別の発明だと見なされるからだ。逆に言うと、特許というのは思いつきの「アイディア」ではなくって、技術的な「実現方法」を保護するものだと解釈できる。
そりゃそうだ、当たり前だろ、と思った人は、たぶん特許を知っている人だと思う。でもこれが、インタフェースとかサービスプラニングとか情報デザインっぽい仕事をする人にとっては、なかなか困りものなのだ。なぜなら、せっかくオブザベーションやシミュレーションやブレストで何か良いソリューションが出たとしても、それ単体では知的財産性がゼロだからである。著作権や実用新案はあてにならないから、せいぜい意匠権で保護するしかない。つまり、知的生産活動をしていながら、知的財産はほとんどアウトプットされない。例えば、先行的なデザインアイディアを集めているダイソンアワードの入賞作を挙げれば、
- 飲料水生成装置付き救命ボート
- 心肺機能蘇生ベスト
- 救命浮き輪発射装置
フリーウェアとしての「アイディア」
知的財産ではないとすれば、そういった大量の思いつきアイディアはコモンズ(共有財)になる。つまり人類共通の資産であり、パクり放題なのだ。しかもそれは情報資源だから、いくら採取しても枯渇しないし、誰かがどんどん新しいアイディアを追加してくる。そしてこのアイディア・コモンズにおいては、うまくパクった人、うまく乗っかった人、うまく編集できた人がエラいとみなされる。パクられた人には名誉が与えられるべきだが、多くの場合、金は与えられない。アップルという会社は、人のデザインをパクりまくって成功しているわけだけれども、これはとってもエラい事だと思うし、パクられた人にはちゃんと栄誉が与えられている。これからのデザインには、こういうフリーソフト的な世界観がけっこう似合うと思う。
というようなことを直球で話したりすると、昔ながらの「デザイナー」さんからは反感を買うことが多い。みなさんは、どう思いますか?