今朝方、一面の桜吹雪に思わず足をとめてしまいました。文学作品で時に「狂おしい」「はかない」といった言葉で表されるように、満開の桜はどこかしら狂気や死後の世界を連想させます。
「櫻」という漢字は、見ての通り「木が飾っている(女性が貝の耳飾りをつけている)」という意味を持ちます。昔の中国人も、満開の桜の木に狂喜乱舞を感じ取っていたのかもしれません。
一方で日本語の「サクラ」の語源には諸説あり、真相はよくわかっていないようです。語源などというのは「どれが正しいか」を議論するよりも、「どれが自分 のお気に入りか」を披露した方が楽しいもので、私のお気に入りはというと「裂く」に飾り言葉の「ら」が付いた、というものです。すなわち、咲き乱れる桜の 木の全体を見るのではなく、ハラハラと落ちた花びらの先の、あの、わずかな割れ目を愛おしく感じ、「サクラ」と名付けたというのです。
ピンク色に爆発する桜を眺めながらも、一方ではお猪口に舞い降りた小さな花びらのかけらを見つめる。その、細やかなディテールに美を感じるセンスは、ものづくりやマネージメントなどの様々な分野で威力を発揮する、大切な国民性なのだと思います。