先日、北京へ行ったときに泊まった「北京新世界ホテル」は、スタッフの対応・サービスも含めて大変立派なものだった。ただその真向かいに建っていた、異様としか言いようのない高層ビルの景色を除いては。
そう、それは中国中央電視台本部ビルだった。建築家レム・コールハースらと構造デザイナーであるセシル・バルモンドによるその「作品」は、今年はじめの事故で全焼してしまい、無残にも建築家の墓標となっていた。
建築の概念と現実
無残に燃え尽きたビルは、建築家の思いと現実とのギャップを比喩する一種のインスタレーションアートのようだった。それは、立派な風貌の東京都庁と、とても人間的とは思えない実際の使われ方とのギャップやら、住宅街に突如として出現した有名建築家によるコンクリート建造物が、実際は地元に馴染まずテナント募集の張り紙だらけにされている様子やらと重なって、私の脳裏に焼きついて離れない。
(via 建築/写真/映画の記憶)