2010年4月5日月曜日

実録!こんなデザイン事務所はイヤだ!~ポートフォリオを投げつけられた編

ポートフォリオを投げつけられた。

ポートフォリオやスケッチは、デザイナーの顔ですよね。まだまだ印刷が高価だったころ、ポートフォリオというのは、指紋を絶対に付けないように丁寧に隅っこを持ったり、白手袋をはめて触れられたものでした。まるで美術作品をたしなむかのように。それを投げつけるなんて、なんて野蛮な会社でしょう!?
投げつけられたデザイナー(もしくはアーティストや設計士)のショックは大きかったと思います。

でもいくら憂えてみても、「ポートフォリオを投げつけられた」という事実は覆すことができません。ここは一つ、落ち着いて投げつける側の感情に眼を向けてみましょう。
繰り返しになりますが、ポートフォリオはデザイナーの顔です。「顔」というのは比喩的な意味ですが、本当にあなたの顔そのものなのです。つまり、デザイナーのカラダ、クセとか趣味の全てがそこに現れています。「投げつける」というのは、よっぽどあなたの「顔」が気に食わなかったので、かんしゃくを起こしたに違いありません。つまり、「作り直して来い!」という意味なんですね。まったく腹が立ちます。

  • われわれの自尊心にとっては、自分の意見をこきおろされるよりも趣味をこきおろされるほうが、いちだんと苛立たしく我慢できないものである。(ラ・ロシュフコー)

処方箋
「作り直す」といっても、もちろん顔は作り直すことができません。ラーメンじゃないんだから。本当にヒドい話しです。
でも一方で、カラダのクセとか、趣味であれば修正(アジャスト)することができますね。このとき投げつけた本人が社長だったのかクライアントだったのかわかりませんが、どちらにせよ相手はあなたの「主人」にあたる人です。主人の好むようなデザインを提示するのが、サービス業に従事するプロのデザイナーなわけです。だからこの場合、かんしゃくを起こすまで主人を逆上させてしまったあなたの側にも瑕疵があるわけです。もちろん、「とってもドライにみれば」という話しですよ。

ポートフォリオの語源
ポートフォリオ(portfolio)というのは、ラテン語のport(…を運ぶ)と、folio(一葉)を合成したイタリア語だといわれているそうです。つまり、元々は「色々な種類のものをひとまとめに運ぶ」という意味があるのですね。だから現代投資理論でポートフォリオというと、「複数の金融商品に分散投資すること」を意味します。リスクを分散するために特性の異なる様々な種類の株などを買うわけです。

簡単に言えば「下手な鉄砲も数打てば当たる」ということです。なのでポートフォリオというのも、
  • そもそも相手(主人)に何がウケるかなんてわからないので、それっぽいものを「幅広く」入れて持っていく。
  • 見せる相手(主人)が変わる場合は、その時々に合わせてポートフォリオを差し替え組み換えする。
という性質のものだと思います。
最初に、「ポートフォリオはデザイナーの顔だ」と書きましたが、実はこの説明は十分ではなくて、「ポートフォリオはデザイナーの顔の持つ無限の表情をうまく寄せ集めたものだ」ということになります。
これでほんのちょっとだけ気が楽になったでしょうか?
ポートフォリオを編集して、またチェレンジする気になってきましたか?

さぁ、みなさんご一緒に。
「顔は作り直せないけど、ポートフォリオは作り直せる」