情報格差と並んで、「創造性の剥奪」が起きている。西垣通によれば、広義の「情報」とは、生物が環境と関係することで出現する生命情報であり、それを記号によって表現記述し社会的に流通させるのが狭義の社会情報であり、さらに、効率的な伝達・蓄積のために記号だけを独立させたのが最狭義の機械情報だという。
Web2.0やユビキタス社会の世界観では、Webやセンシングから得られた内容を自動的に編集した結果が、情報としてユーザーへ提供される。ここでの情報は、機械情報に他ならず、日常生活をこうした機械情報に依存することで、人間本来の思考力が衰える可能性がある。例として、以下が挙げられる。
- メール、アラート、メッセージといった何らかの「トリガー」を発端としてしか、人が動かなくなってしまっている。
- WikipediaやGoogleの台頭により、与えられた課題に対して正面から取り組もうとせず、まず関連するキーワードを元に検索を行い、その結果をカット&ペーストするだけで解決策や成果を得ようとしがちになる。
- レコメンド機能や、PageRankなどの統計的、自動的な結果を鵜呑みにしてしまい、自ら進んで新しい情報や関連性を探索しようというモチベーションが失われている。