2009年1月5日月曜日

「引き際」について~美しきエンジニアリング

故障した信号機の横断歩道を渡る男性(吉祥寺駅前にて撮影)

 先日、ハッとする光景を見てしまった。信号機が故障していたのだ。信号機の設計は、信頼性工学の集大成のようなもの。電球が切れる前に定期交換したり、様々なバックアップ回路が組み込まれていたりして、めったに故障することはない。

美しきエンジニアリング
 そのモノが「壊れた」ときにこそ、そのエンジニアリングの思想が見えてくる。良きデザインは、美しく壊れるのだと思う。
 故障した信号機には、しっかりとフェイルセーフ(fail safe)の思想が生かされていた。フェールセーフとは、故障や誤操作が起きたときの被害を最小限に食い止める設計思想だ。ストーブが転倒すると火を止める機構なども、これに含まれる。


 その信号機は、制御系統の異常をシステムが自動検知したのか、数秒後には全てが「黄色点滅」に変化した。故障しつつも、注意喚起という最低限の機能だけは維持している、非常に美しいデザインだと思った。
「壊れた先」のことまで考える、というのは、デザインの重要な使命だと思う。