2009年1月16日金曜日

ネット社会への問題提起(その1)~ネットワークエンジニアとして

 ネットワーク技術の急速な発達によって、インターネット社会が誕生した。ネットワークを伝って時空を越えて飛び交う情報は、人と人との間に様々な関係性を構築している。それは、旧来のWebやメールマガジンによる情報発信者から受信者への1:n型の関係や、電子メールによる1:1型の通信手段にとどまらず、昨今ではWeb2.0 の台頭により、多数の人同士が相互に協調し影響しあう事の出来る、いわばn:n型のコミュニケーションが活発化している 。
 こうしたネット上のコミュニケーションサービスは、プログラムモジュールを容易に組み合わせてアプリケーションを実現できるマッシュアップ(mash-up)や、生活空間に偏在するセンサーや制御装置によって実現されるユビキタスコンピューティング(ubiquitous computing)、あるいは処理の大半をネットワークの背後へ隠蔽したクラウドコンピューティング(cloud computing)などの技術基盤によって下支えされ、さらなる発展が期待されている。

インタラクションの閉塞感
 ネットワークを通じたコミュニケーションサービスが多くの価値を生み出している一方で、ネットワークと現実世界との関係性(インタラクション)はほとんど進化していない。多くのネットワークサービスは、人とネットワークとを結ぶ入出力デバイスとしてPCか携帯電話を用いている。コミュニケーションがこれら特定の電子デバイスに依存することには、色々な問題がつきまとう。
 よく言われるのが、情報格差だ。これは主に国、地域、教育、アクセシビリティ(高齢者や障がい者などの利用可能性)などに起因すると考えられる。これらの原因によってPCや携帯電話などの電子デバイスを使うことができない人々は、ネットワーク上でのコミュニケーションサービスによってもたらされる情報を得ることが著しく困難である。

(つづく)