2010年5月11日火曜日

デザインって何の役に立つの?ズバリ答えましょう。

仕事で会う人なんかに、よく「デザインは何の役に立つんですか?」っていわれる事があります。普通、これをデザイナーに質問したら失礼になるのかもしれませんが、私はデザイナーではないので、皆さん直球で聞いてくるのです。

この手の質問の答えは多面体であり、正解というものはありません。そんな時は、自分の「お気に入り」を見つけるのが良いでしょう。


回答例その1

  • 「何の役に立つか」だって?愚問である!
  • それは感性で感じるものであって、言葉で説明するものではないのだ。
  • デザイナーであるこの私の感性によって良いデザインが生まれるのである。
ここまでダイレクトではなくとも、この手の回答を心の中に持っているデザイナーも多いようです。この回答は決して間違ってはいませんが、多くの誤解を招くでしょう。大多数の人はデザインの意義を「感じる」ことが出来ず、それを言葉で説明することを要求しています。
ちなみにあなたが経営者であって、元気の無いデザイナーを激励したいのであれば、この手の言葉を発すればイチコロだったりします。


回答例その2
  • デザインとは商品の戦略的ブランディングそのものです。
  • 他の商品と区別させるための「差異」をつくりだせます。
  • 実際のコストよりもより「高価」に見せることができます。
この回答は、発注元や経営層にはすんなり理解できるでしょう。そしてあるデザインが、具体的に、定量的に、どのように人の知覚に作用し、差異(価値)を生み出すかを証明することができれば、素晴らしいことだと思います。つまり、デザインする前と、デザインした後とで、どれだけ「見かけの」商品価値を向上させられるかどうかが問われることになります。これが出来ればマーケターを大喜びさせることができます。
ただし、デザイン系の研究者やイノベーション系の人に言うと嫌がられます。デザインは消費拡大のための道具ではなく、もっと崇高な物だと言わなくてはなりません。注意してください。


回答例その3
  • デザインとは商品・サービスを企画する上でのプロセスです。
  • 多くの利害関係者、多くの専門職同士の意志疎通を助け、プロジェクトを成功させます。
  • ビジュアライズ、ブレスト、プロトタイプ、プレゼンなど、企画のフェーズ全てがデザインなのです。
この回答は、比較的新しいものです。特に日本国内においては、まだ多くの人が納得するものではないので、やはり使うときには注意が必要です。つまり、伝統的なプランナーに対するデザイナーの「高慢」「越権行為」「思い上がり」「眉唾モノ」だととらえられかねません。そもそも商品企画という経営の本質的な部分は、業務を熟知したベテランが行うものであって、その部分だけをデザイン部門とか、デザイナーとか、ましてやコンサルティングファームに外注することは、一般的にはあり得ません。そして一番大切なことですが、これまで、いわゆる職業デザイナー(工業デザイナー、グラフィックデザイナー、情報デザイナー)は、基本的に「職人気質」であり、こういった協調作業やマネジメント的な業務には不向きである、と考えられてきました。
しかし今後、こういった学際的なデザインのあり方が、より重要視される時代が来るでしょう。いくつかの成功例も耳にします。先見の目のある経営者や研究者は、こういった意味での「デザイン」を積極的に取り入れているようです。


回答例その4
  • デザインは産業と切っても切れない要素であり、あらゆる製品の有姿を定めています。
  • すなわちデザインとは、日本人としての生活様式(ナショナル・アイデンティティー)を規定するものなのです。
  • ですからデザインを語ることは、日本の未来の文化を語ることです。
  • デザインとは、生活様式そのものなのです。
この回答は、そもそもナショナル・アイデンティティーの薄い日本ではあまり聞きませんが、欧米では割と当たり前に受け止められるのではないでしょうか。あなたの「デザイン」が、こういったグローバルな視点に立ったモノであれば、素晴らしいことだと思います。


その他
  • デザインとは、次世代の子供たちのための宝物です。
  • デザインとは、あらゆるバリアを取り払い、誰もが快適に生活するためのものです。
  • デザインは、みんなの相互理解を助け、元気にするためのものです。
  • デザインとは、すなわちプロデュースの能力です。
「デザインとは何か」について、正解は無いと思う。ただ、あなたのお気に入りの「明確な回答」というのは、持ち合わせていても良いのではないかと思う。これらはどれも相反するものではない。100人100色のデザイン観、というものがあれば、クリエイティブの世界はどんどん賑やかで彩り豊かなものになるのではないだろうか。