2010年5月13日木曜日

私のダークな仕事について(つづき)~セキュリティの神話

考えてみてほしい。あなたが毎日受け取っているであろう「スパムメール」は、なぜあんなに沢山あるのだろうか。今日、私のところに来たスパムは、こんな感じだ。

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こ れらを額面通りに受け取ってはいけない。つまり、彼らは裏DVDを売ったり、出会い系の募集だったり、ソフトウェアを販売することが目的ではない。あなた の「クレジットカード番号を抜き取ること」か、あるいは「あなたのPCにマルウェアを仕組むこと」を目的としているのである。
そして一番大事なことは、これらの犯罪が、
  • スパムメール業者
  • 詐欺サイトの運営会社
  • クレジットカード情報のブラックマーケット
  • カード情報を金銭に換える専門業者
など、分業された専門業者のネットワークによってもたらされており、それらは十分に「経済的に成り立っている」ということにある。

諸悪の根源はGoogle?Amazon?
ク リック数によって広告費が支払われる、というGoogleのビジネスモデルが成り立つ限り、不法にコンピュータを乗っ取ってクリック数を「水増し」しよう とする輩が常に存在する。本書は、インターネットビジネスの巨人であるGoogleのあり方についても、犯罪者の経済性の観点から鋭く切り込んでいる。
そしてGoogleの次の標的として挙がっているのが、Amazonである。Amazonを利用してどのような「儲けの手口」が可能であるかについて、具体的な理由が述べられている。
あんまりこのブログで大っぴらに書いてもしょうがないので紹介は控えるが、利用者側もこういった知識を持つことで十分に自己防衛することが可能だと思う。(犯罪者側は、とっくに気づいているだろうから)
ちなみに金銭的に「儲かるかどうか」という視点からセキュリティをとらえると、携帯電話のウィルスが少ない理由も説明できる。

セキュリティの神話
本書、「セキュリティの神 話」は、こういった感じで、インターネットビジネスの成功と、その裏に潜むセキュリティの問題をあぶりだしている。「GoogleやAmazonとコン ピュータウィルスの関係」や、そもそも「ウィルス対策会社がウィルスを作っているのではないか?」などなど、一般にタブーとされている話題について経済原 則や実に基本的な技術課題を持ち出してはざっくばらんな話しをしている。彼の「母親でも読める」ことをモットーにまとめているので、専門用語は出てくる が、内容はそんなに難しくない。
最近のコンピュータ関連書籍は、すっかりノウハウ物やHow-to物の本ばっかりになってしまったけれども、久しぶりに問題提起型で読み応えのある内容だ。
「インターネットセキュリティ」について、少なくともネット上にはどこにも書かれていない、深い知識を得ることができると思う。