そんなわけで、彼女はやっとバスに乗ることができるようになったわけだ。
で、一緒にバスに乗り込んでビックリした。少しばかりUD(ユニバーサルデザイン)に興味のある人なら、車椅子用の金具のことを知っている。それはつまり、バスの床についている車椅子固定用の金具だ。
しかしこの時のバスの運転手は、運転室から慣れた手つきで「バス用の輪止め」を持ってきて、ヒョイヒョイと車椅子につけてしまった。
前向きに見るか、後ろ向きに見るか
素晴らしい目的外利用だと思った。脳性まひの人が携帯電話を自分の眼の代わりとしたときのような、アドホックなクリエイティビティを見た気がする。
しかし同時に、これはコンプライアンス違反だと思った。指摘くんに見つかったら大変なことになるな、と思った。おそらく運転手さんはクビになってしまうだろう。
運転手さんが輪止めを使った理由は簡単だ。車椅子用の固定金具を使って保持するためには、まず一般客用の座席を2箇所(バスによって3箇所)跳ね上げる必要がある。そこに座っている人がいたら、どいてもらわないといけない。バスの運転手にとってその作業はとても面倒くさいし、何よりお客さんに迷惑をかけるのだ。車椅子の人も、他の客に迷惑をかけてまで自分の安全を少しばかり確保しよう、とは思わないかもしれない。
(つづく)
2009年4月10日金曜日
車椅子の人はバスに乗れるか?(その3)
ラベル:
コミュニケーションデザイン,
プロダクトデザイン,
商品企画,
発想法
人気の投稿
- 無印良品=空虚な記号
- 重機で遊べるテーマパーク、広大な敷地でショベルカーなど操作体験!?
- 久しぶりにトークショウに出ます。
- 石原都知事の記事、福島智について。
- マッキントッシュを買いました。
- 神様も知らないかも?ネット世界を可視化すると、こんなに美しい。
- ソビエトとナチスのプロパガンダポスターを中心にポスターデザインの歴史をみる
- 通行人もビックリ…停まっているのにスピード感いっぱいのベンツ / safe drive installation using Mercedes C-350 coupe
- (休日の自由研究)神保町シアタービル
- 本日締め切り!モノ:ファクトリーとMakeのバスツアー「工場ハック」