2008年10月24日金曜日

ホスピタリティのデザイン(その2)~嗅覚ブランディング


 これは、イタリアのアルファロメオの助手席の下に標準装備されている「フレグランス・シート」だ。香水(CHANELのANTAEUSといわれているらしいけど、定かではない)が浸透された不織布のような素材から、香りがほのかにもれるようになっている。ディーラーで誰でも買うことができるので、興味のある方は聞いてみてはいかがだろう。
 嗅覚、味覚、触覚など五感をフルに活用したブランディング手法を「五感ブランディング」というけれど、身体を快適に保ちつつブランディングを行うこの手法は、ホスピタリティの戦略的なデザインといって良いのではないだろうか。
 似たような事例は、

  • シンガポール航空のアテンダントの香水、おしぼりの香り
  • グランドハイアット東京のロビーや駐車場など
などにも見てとれる。常にトップクラスの顧客満足度を維持するシンガポール航空では、総合的品質管理(TQM)の一環として、リピート客に「ホッとする場所に帰ってきたように感じてもらう」ために、様々なホスピタリティマネジメントを行っている。
 グランドハイアット東京は、ロビーのフラワーアレンジメントの香りや、駐車場の香りに至るまで、徹底的に香りをコントロールしている。駐車場の換気計画は素晴らしく、排気ガスのにおいの代わりに、受付コーナーの裏に隠されたアロマスチーマーから出された独特の香りに満たされている。さらに、こうした香りを自宅へ持ち帰ってもらう「オリジナル フレグランスチップ」も制作しているという手の込みようだ。もっともっと身近な例でいえば、
  • 無印良品のBGM
  • Intelのジングル音
などがわかりやすい。無印良品のBGMは、各地の土着的な音を収録したもので、店舗でかかっている曲とおなじものがアルバム化されている。

  

(つづく)