2009年5月29日金曜日

1000ページにわたって宇宙の真実のみが書かれている本


久しぶりに「理科年表」を買った。「データの信頼性」が低い世の中になったと感じたからだ。
グラフやら表やらを駆使して、いかにも定量的に話しを進めている(かのようにみえる)主張は少なくない。ブログしかり、雑誌しかり、百科事典しかり、書籍しかり。。。

しかし残念なことに、自分に都合の良いデータだけを集めて煙に巻きつつ、自己主張を加える、といったスタイルが多い。特にエコやらダイエットやら世界恐慌やらのブームに乗っかって書かれた文書には、そういった「意図」が滲み出ていて見るに耐えない。

理科年表は誠意の塊、のような書籍である。すべて学術文献に基づく客観的に証明されたデータのみが掲載されている。なにより素晴らしいのは、主観的な主張が、一切がっさい排除されているという点にある。そこには、著者の恣意的な企みや、読者を惑わそうという気配、あるいはアートの要素が一切無い。ただ純粋な科学的興味によってのみ、この本はつくられているのだ。そして論文のような気難しさも無く、中学生から高齢者まですべての人が読むことができる。
なんとなく「悟りの境地」を感じてしまうこの書籍、実はこの手の本が出版され、累計200万部を超えるロングセラーになっているというのは、世界的にも珍しいことだという。どこか日本人的な几帳面さに通じるものを感じてしまう。

パラパラと中をみていこう。まず目次。これは、暦、天文、気象、物理、地学、生物、環境の順になっている。これはつまり、科学の「エライ順」なのだ。暦を知ることで洪水を予報し、天から方角を学び、気象を研究し、物理学・化学が発展し、そしてこれらの知見に基づいて生物を観察してきた。ちなみに環境の章は、2005年から新設されたものだ。理科年表の目次そのものが、科学の歴史になっている。

(つづく)