2010年4月30日金曜日

私の「情報感動世界」

  • 大人になってから、仕事で「感動」したことってありますか?
美大生と話していると、ときどき変な質問をされるので面白い。
みなさんなら、どう答えるでしょうか?

私はエンジニアなので、よく企業パンフレットに書いてあるような「お客様からアリガトウと言われたときがシアワセです」といった経験が無い。
IT系の仕事って、そもそも怒鳴られることはあっても、有難がられることなんて無いんじゃないだろうか。

個人的に感動する瞬間があるとすれば、「コンパイルが通ったとき」だろうか。
(コンパイラを知らない方へ:「プログラム」を書くことだと思ってください)
複雑なシステムが何億ステップもの処理をこなし、無事にカーソルが戻ってきた瞬間、あれは幸せだ。

あとは、、、
データセンターに入ったときに、自分達の作ったシステムがちゃんと動いていて、LEDの点滅の先に流れる情報の世界をみたとき。

かな。
とてもじゃないけど、デザイナーには説明できない世界だ。

つくづく思うこと。
情報に色は無い。音も立てない。ただただ無機質な仕掛けだけが、そこにある。
それを「美しい」という言葉で表現することもできるけれど、「美術」のいうところの美しさとは全く反対のものだと思う。

このあたりで卑怯な言葉に、いわゆる「機能美」というのがある。これは、
  • 機能性の高いものの中には、美術的な鑑賞に値する要素があること
を示している言葉だから、私は嫌いだ。「機能」が「美術」に隷属していることを暗に示しているからだ。デザイナーとエンジニアが使ったときでは、隷属関係が逆転していて面白い。

あれは機能美ではない。
コンパイルしたときの感動は、どう言えばいいのだろうか。
仕組みそのもの、機構・構造に対する愛の感情に相当する言葉は無い。あえて言うなら、「情報感動世界」だろうか。