私が小型プロジェクターにワクワクしてしまうのは、こんな背景を知っているからかもしれない。つまり、
- 製品の進化は、技術革新によってもたらされる。
- その技術とは、機能の充実やスペックの追求に向けられるものではなく、新しい価値(例えば携帯できることで通勤時間がリッチになる、といった)をもたらすものである。
- その技術が本当に革新的かどうかは、賢い利用者の選択によってなされる。
小型プロジェクターの夢
小型プロジェクターを見たときに、必ずこう言う人が居る。曰く、「バッテリーは持つの?」「解像度が今より悪いんでしょ?」「ちゃんと明るいの?」。そんなスペック主義者たちは、いずれジレンマの罠に嵌ってしまうだろう。
小型プロジェクターが面白いのは、その製品の投入によって、プロジェクターというプロダクトの利用目的が、「流行のホームシアターセットの一部」というくだらない用途から逸脱して、より新しい、誰も感じたことの無い価値を生み出す可能性があるからだ。
デザインの力
「スケッチ」という魔法を使って、誰も知らない物に命を与え、まだ見ぬ利用者とのインタラクションを写し取るのが、職業デザイナーの能力だと思う。そこで必要とされるデザイン思考は、技術に迎合したり、スペックや機能を追及した結果としてのスタイリングの追求ではなく、新しい価値を創出し、その使い方をわかりやすく示すために使われないと、あまりにももったいないと思う。